ビットコインが抱える問題は、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)のシステムから脱却することで解決されるだろう。国際決済銀行(BIS)が1月21日に発表したワーキングペーパーの中で、そのような指摘をしている。

今回公表した研究は、ビットコインのPoWシステムについて論じたものだ。ペーパーの中の議論によると、将来ビットコインのブロック報酬がゼロになると、限られた数の新しいビットコインしか作成されないため、トランザクション手数料だけではマイニング費用を維持することができなくなるという。その結果、ビットコインネットワークが非常に遅くなり、事実上使えなくなるだろうと議論している。

「シンプルな計算では、一度ブロック報酬がゼロになれば、ビットコインの支払いの確定を早めるための新しい技術が導入されない限り、ビットコインによる支払いが確定するまでに数か月かかることになるだろう」

さらにこの調査では、ライトニングネットワークのようなセカンドレイヤーが解決策になる可能性があるとしつつ、「唯一の根本的な解決策はプルーフ・オブ・ワークから脱却することだ」と指摘している。そのような作業は、「おそらく何らかの形での社会的調整や制度化を必要とするだろう」としている。

今回のペーパーは、「デジタル時代においても、良いマネーとは純粋に技術的なものではなく、社会的に構築されたものであり続ける可能性が高い」と結論づけている。

国際決済銀行(BIS)は各国の中央銀行で組織される組織で、国際金融決済に関する業務などを行う。

BISのカルステンス総支配人は、仮想通貨に批判的な立場を取っていることで有名だ。昨年7月のインタビューでは、ビットコインといった仮想通貨は「バブルであり、投資詐欺であり、環境災害だ」と批判している。

PoW(プルーフ・オブ・ワーク)とは、仮想通貨を維持・管理するシステムの一種。仮想通貨は取引の承認が不正なく行われブロックチェーンの生成が実現されることで通貨の信頼が保たれるが、この作業には時間的、金銭的(電気代や専用PC)コストがかかるので作業の報酬として仮想通貨が付与される(マイニング)。この経済的インセンティブに従い多くの人が参加しPoWを実行する。

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