欧州ルクセンブルグ大学の研究者が、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の影響について考察し、ECB(欧州中央銀行)発行のCBDCがEU憲章に違反する可能性があると指摘した。2月22日のオックスフォードビジネス法ブログで共有された。
CBDCに注目が集まった背景
ルクセンブルク大学の法経金融学部のポスドク研究員のフセイン・ナビロウ氏は 自身の研究「中央銀行デジタル通貨:予備的な法的考察」を発表。この研究は、CBDCの発行がもたらす欧州中央銀行(ECB)に潜在的な課題に焦点を当てている。
ナビロウ氏は、中央銀行発行のお金と似た(仮想通貨の)機能性が、いかにして銀行の注目を最初に集めたかに注目。銀行は、仮想通貨が彼らの独占を崩壊させ、既存の金融システムの安定性に影響を与える恐れに気が取られていた、とナビロウ氏は確信する。
したがってCBDCは仮想通貨人気の高まりに対する対応策として取り扱われる可能性がある、と彼は続ける。仮想通貨に対する一般的な懐疑論とベネズエラのペトロのような国営コインを発売する試みのいくつかの失敗にも関わらず、中央銀行は積極的にデジタル通貨の背後にある技術を研究している。
ECB発行のデジタル通貨 何が問題?
ナビロウ氏は、ECBがデジタル通貨を発行すると銀行の混乱を招く可能性も指摘する。顧客は中央銀行の貸借対照表に直接アクセスすることになるため、結果的に顧客が商業銀行内で残高を保持する必要がなくなり、銀行セクター全体の安定性に影響を及ぼす可能性があるからだ。
さらに、そのような動きは信用の配分を集中化させ、自由競争を伴う開かれた市場経済の原則を損ない、EU憲章上の制約に違反するだろうと解説。こうした理由から、適切な規制が導入されない限り、ECBがCBDCを発行する可能性は低いとナビロウ氏は結論付けている。
ベネズエラは、2018年に国営コインを発売した最初の国の一つだったが、同国政府の努力にもかかわらず、ペトロは国の経済を救済してはいないようだ。
イランではいくつかの銀行もPayMonと呼ばれる金で裏付けされたデジタル通貨をサポートしており、エジプトはCBDCを発行する可能性について検討中だ。
中央銀行関係者の中には、CBDCに対するナビロウ氏の見解を支持する声も出ている。
例えば、韓国の中央銀行は最近、CBDCについて、民間企業からの資金の大量引き出し、流動性の低下、金利の引き上げにつながるという警鐘を鳴らしている。
日本銀行も先日、中央銀行発行のデジタル通貨について見解を出し、民間銀行に対する悪影響について考察をしていた。
翻訳者 ロシアンOLちゃん
14歳の時に来日してから日本が好きになり、日本語の勉強を始める。大学卒業後、商社、PEファンドなどを経て、現在ではブロックチェーン産業に携わり、SNSでロシアや欧州のブロックチェーン、クリプト情報を発信している。