オランダ経済政策分析局(CPB)はこのほど、仮想通貨が国内経済の安定に及ぼすリスクは低いとする報告書を発表した。投資額の低さや金融機関との限定的な関わりなどが理由。

 CPBは報告書の中で、現時点では仮想通貨は投資額の水準が低いだけでなく、従来型の金融機関およびシステムとの関わりも限定的であるため、財政システムにもたらすリスクは低いと述べている。CPBはそれとは別に、犯罪資金の調達、詐欺、仮想通貨市場の高いボラティリティ、仮想通貨マイニングのエネルギー消費を関連の問題として言及している。

 また、仮想通貨関連のリスクは、政府金融機関との関わりが大きくなることによって増加すると予測している。仮想通貨は「貨幣代替物」ではないとも述べており、ユーザーは一般的に日常的な決済方法として仮想通貨を使うのではなく、保有しておくのを好むと分析している。

 同報告書はバランスの取れた金融規制の必要性を強調している。CPBは金融規制が欠如しているリスクと厳格なリスクを比較し、厳しすぎる政策はシャドーバンキングの活動を増加させる可能性があると述べる。

 CPBは財政支援に関する議会調査委員会の要請を受け、12年から毎年金融リスク報告書の作成にあたっている。仮想通貨が金融の安定性に悪影響を及ぼす可能性は低いと断言するCPBは、現時点で最も重大な金融リスクは低金利であり、それにはマクロ経済レベルでの債務の持続可能性を低下させる危険性が伴うと主張している。

 今年の初めに、オランダのある裁判所がビットコイン(BTC)を「譲渡可能な価値」だと認め、主要な仮想通貨を「財産権の特性を示しているもの」とする判例があった。この裁判で、法廷は被告側に対しビットコインでの返済を命じている。法廷側の論旨によれば、被告の債務はもともとBTCで行われていたので、その額が同じように返済されるべきだとしている。