分散型取引所(DEX)アグリゲーターのカイバースワップ(Kyber Swap)がメンバーの半数を削減するリストラを発表した。

カイバースワップは先月、ハッキング攻撃によって約70億円を流出させており経費削減が急務になったとみられる。

カイバースワップは、異なるブロックチェーン間の流動性を集約し、仲介者なしでトークンの交換を可能にするブロックチェーンベースの流動性ハブであるカイバーネットワーク上で動作するDeFiプロジェクトだ。

カイバースワップのヴィクター・トランCEOは「遺憾ながらスタッフの50%を削減した。多くのチームメンバーと別れるという決断は心を痛めるものだった」などと語っている。

同CEOによると、現状DEXアグリゲーターや指値注文機能を含む同社の「中核事業」は引き続き堅調だという。

カイバースワップは現在、今回の事件で影響をうけた顧客への払い戻しを検討中だ。計画によると、2024年2月1日に米ドル建てステーブルコインで払い戻しを開始する予定だという。

影響を受けたユーザーは2024年1月11日~23日の間に払い戻し申請する必要がある。 一方影響を受けたユーザーは元々保有していた資産の60%しか受け取れない見込みだ。

カイバースワップチームは当初、ハッカーに資金返還を求め交渉していた。一方ハッカー側はカイバースワップのすべての資産とガバナンス機構であるKyberDAOを含む完全な支配権を要求したため破談に終わっていた。

またハッカーは公正な評価額でカイバースワップを買収するとしていたが、カイバー経営陣はこの申し出を拒否したもようだ。

DeFiの専門家であるダグ・コルキット氏によると、攻撃者は「無限マネーグリッチ」という手法を使用。カイバースワッププールを実装している複数のネットワークで「複雑かつ慎重に設計されたスマートコントラクトの悪用」を実施した。その結果、Avalanche、Polygon、Ethereumとレイヤー2ネットワークのArbitrum、Optimism、Base等から資金が奪われた。

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