著名な経済学者である、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、中国のデジタル人民元に対抗するため、米国も政府主導でデジタル通貨「Fedコイン」を作るべきだと提唱している。27日、米CNNのインタビューの中で発言した。

ロゴフ教授は、米国にとっては、ビットコインやフェイスブック主導の仮想通貨リブラよりも、国家が発行するデジタル通貨の方こそが本当の脅威になると強調。中国人民銀行が発行するデジタル通貨が、米ドルの覇権に挑むことになるだろうと警告した。

ビットコインやリブラのような通貨であれば、流動性が限られている上、「政府がコントロールすることが可能」だとし、それほど大きな脅威になるわけではないと指摘する。

一方、世界最大の経済圏である中国がデジタル通貨を発行することになれば、実際にリテール分野などで普及することになると話す。加えて、米国が経済制裁を加えているようなロシアや北朝鮮といった国々でもデジタル人民元が使われる懸念があると指摘した。

このような中国のデジタル通貨台頭に対抗するため、米国自身もデジタル通貨競争に挑むべきだと主張。民間ではなく、政府が主導で「Fedコイン」を持つべきだと語る。ちなみにFedとは、米連邦準備制度理事会(FRB)のことだ。

ロゴフ教授は「異なる価値観を持つ国との間での、未来の戦いが始まろうとしている」と語った。

中国のデジタル通貨への危機感は米国からも数多く出ている。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、10月の米下院公聴会の中で、仮想通貨リブラが中国のデジタル通貨の対抗策になると主張した。

また米商品先物取引委員会の前委員長である、クリストファー・ジャンカルロ氏も10月、中国のデジタル通貨は「新しいスプートニクショック」だと指摘し、米国も「デジタルドル」を導入するべきだと主張した

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