中国の大手EC企業JD.com(京東商城)が、ステーブルコイン事業に本格参入する。創業者のリウ・チャンドン(劉強東)氏が、クロスボーダー決済を目的としたグローバルなライセンス取得計画を明らかにした。

この発表は、米上院がステーブルコイン規制法案「GENIUS法」を可決した翌日に北京での記者会見で行われた。

リウ氏は「すべての主要通貨国でステーブルコインのライセンス申請を行うことを目指している」と述べ、グローバルな送金をより迅速かつ低コストで実現するためにステーブルコインを活用すると説明した。

「従来のSWIFTシステムでは決済に2〜4日を要するが、我々は10秒以内の送金と、決済コストの90%削減を可能にする」と強調した。

まずは法人間決済、次にリテール決済へと展開

JD.comのステーブルコインは、まずB2B決済向けに導入される予定だが、将来的には一般消費者向け(C2C)の決済にも対応する構想があるという。

リウ氏は「B向け決済が完了したら、C向け決済にも進出できる」と語り、小売分野への展開を視野に入れていることを示唆した。

また、「このプロジェクトは困難に直面し、失敗するかもしれない」とも述べたが、「それがビジネスというものだ」とも語った。

今回の取り組みは、JD.comがこれまでのサプライチェーン中心のビジネスモデルを維持しつつ、国際展開を加速する姿勢を反映している。

「新たなビジネスモデルには手を出さない」とした上で、「既存の7〜8のビジネスモデルを深堀し、国際展開させていく」と明言した。

規制整備進む中で高まるステーブルコイン熱

今回のJD.comの動きは、規制面での整備が進んだことを受け、世界的にステーブルコインに対する関心が高まる中でのものだ。

米上院では18日、GENIUS法案が通過した。ただし、法案は共和党が多数を占める下院での審議というハードルが残っている。

ステーブルコイン発行企業サークルのジェレミー・アレール氏は先週、転換点が間近に迫っているとの見方を示した

「まだiPhone登場時ほどのインパクトには至っていないが、プログラム可能なデジタルドルがもたらす可能性に、開発者たちが気づくタイミングは確実に近づいている」とアレール氏は語った。

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