金融庁が9月30日に出した仮想通貨などを投資対象とする投資信託の組成・販売が「適切ではない」とする方針案について、創・佐藤法律事務所の斎藤創弁護士は「修正を求めるのは容易ではないという見方を示した。

金融庁は「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案を発表。投資信託などは「国民の長期・安定的な資産形成手段として特別の制度的位置付けを与えられたもの」という趣旨から、仮想通貨などを投資対象とする投資信託などの金融商品の組成に慎重な姿勢を示した。

この方針案に対して金融庁は、10月31日までネットなどでパブリックコメントを募集する。

投資信託投資法人ではなく匿名組合出資のような形で仮想通貨に投資する形は禁止されていない。

斎藤弁護士は、コインテレグラフ日本版に対して、投資法人及び投資信託では特定資産という資産(金商法施行令3条、株式や不動産・債権などで仮想通貨は入っていない)に50%以上の投資をすることになっていると解説。今回は仮想通貨など非特定資産への投資対象を制限するものであり、どれくらい制限するかはケースバイケースであるものの、「特に慎重にとわざわざ書いており、極めて少量でも認められない可能性がある」と話した。

また斎藤弁護士は、金融庁がガイドライン本体だけではなく意見募集の文中でで仮想通貨に触れたことに注目。次のように述べた。

「ガイドラインの内容については金融庁が相当に検討して出してきたもののように見える。また内容自体は非合理的ではない印象なので、ガイドラインの内容の修正を求めるのはなかなか厳しいのではないか。」

仮に修正を求めたい場合は、斎藤弁護士によると、「収納代行が為替取引とされそうになった時にシェアリングエコノミーにも悪影響があるとして各種団体が一丸となってアピールしたような事例が考えられる。ただ、その際は政治家等も含めて修正を求める声が大きくなったのだが、投資信託から非特定資産の暗号資産への投資を認めるべき、という修正が、広く支持を集められるかというと、現状ではなかなか難しい印象はある」と話した。