分散型台帳技術(DLT)の非営利組織IOTA(アイオタ)財団は8月30日、英自動車メーカーのジャガー・ランドローバーなどと提携し、電気自動車のバッテリーおよび使用量情報をDLTを使って追跡するという概念実証の共同展示を行っていると公式ブログで発表した。
IOTAは、「モノのインターネット(IoT)」で使用するために設計された仮想通貨の1種。機械間で相互作用するエコシステムが拡大する中、その中でのトランザクションを促進する暗号プラットフォームとなると自らを定義している。ブロックやマイニングといったブロックチェーン技術のベースとなるものを使わず、DAG(有向非巡回グラフ)を活用するモデルである点が特徴だ。
公式ブログによると、IOTA財団は、ジャガー、電気・ガス供給売上で世界2位とされる仏エンジー(ENGIE)の研究ラボ(ENGIE Lab CRIGEN)と共同展示のために提携しているという。このデモの目的は、エンジーによる新スマートビル落成披露イベントにおいて、ジャガー初のフルEVタイプ電気自動車「I-PACE」におけるバッテリーおよび使用量情報の追跡などを一般に公開することだと説明した。
ジャガーのビークル・アズ・ア・サービス・エンジニアリング・グループのラッセル・ビッカーズ氏は、この実証実験がエネルギーに配慮したスマートシティの未来を示すものとして、次のように述べた。
「この取り組みは、都市がインフラと交通の両方を持続可能で相互に有益なエコシステムに変える方法を示している。I-PACEのようなエネルギーに配慮した車両や建物が、ジャガーのデスティネーション・ゼロ戦略(事故ゼロ・渋滞ゼロ・排出ゼロ)に沿って、持続可能性における革新をどのように生み出すのか、一般の人々に公開できることに興奮している」
IOTA財団によると、ジャガーのI-PACEには、グリーン充電に利用できるIOTA対応スマートウォレットが含まれており、IOTA基盤のDLTで追跡できるという。グリーン充電とは、再生可能エネルギー由来の電力によるバッテリー充電を意味しており、I-PACE所有者がそれら電力のみで充電できるようにしたそうだ。
また既報の通り、天気、交通・道路状況に関連する情報をスマートウォレットを介し自動車から自動的に報告させることで、ユーザーはIOTAを獲得できるという。IOTAは、通行料、駐車場料金、充電などの決済サービスに利用できるそうだ。
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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版