仮想通貨業界のイノベーションを妨げるとして、物議を醸している1兆ドル規模の米国インフラ法案は、仮想通貨条項の修正なしで米下院での採決が9月27日までに行われるようだ。
米議会下院は24日、3.5兆ドル(約390兆円)の予算決議を220対212の投票で可決した。当初、中道派の民主党議員からは反発があったものの、ナンシー・ペロシ下院議長が9月27日までに法案を通過させることを約束したことで、中道派の異論を抑えた。ペロシ氏は次のように述べた。
「超党派のインフラ法案を9月27日までに通過させることを約束する。その通過のために下院民主党の支持を集めることを約束する」
インフラ法案をめぐっては7月下旬、さらに280億ドルを調達するため、仮想通貨業界への課税義務を拡大する仮想通貨条項が急遽追加された。
この法案では「仮想通貨ブローカー」の定義が曖昧にされ、ネットワーク検証者やソフトウェア開発者に厳しい課税報告義務を課される内容が盛り込まれた。業界関係者は、ユーザーの情報を得ることが難しい開発者などは、課税義務に従うことが実質的に不可能ではないかと主張。
こうしたことから上院は8月上旬、ネットワークバリデータとソフトウェア開発者を明確に除外する法案の修正案を可決する計画を進めていたが、反対意見を持つ上院議員が1人いたことで、法案に修正案は盛り込まれなかった。
しかしその後、財務省の関係者は、CNBCに対し、遵守が難しい事業者には報告義務を課さないと述べた。
この匿名の関係者は、財務省が詳細な調査を行って、仮想通貨業界のどの事業体が報告義務を遵守できるかを把握する意向であることを示していた。こうした報道がありつつも修正はなされなかったようだ。