DeFi(分散型金融)は仮想通貨業界の新たなナラティブとして注目されているが、警戒の声も根強い。韓国仮想通貨リサーチ企業Xangleは、「もしDeFiがロシアンルーレットだったら、撃たれた責任を誰に取ってもらう?」と題したレポートの中で、DeFiの加熱感に警鐘を鳴らした。

イーサリアムを基盤にしたDeFiブロジェクトが多い中、Xangleによると、実は5月以降で新規のイーサリアムアドレス数が減少傾向にある。DeFiへの関心が薄れている証拠かもしれないとXangleは指摘した。

(出典:Xangle「イーサリアムのオンチェーンステータス 新たなアドレス数」)

またXangleは、8月14日で取引量や取引数がピークアウトしたと指摘。一方で手数料が8月初期の頃の2倍と相変わらず高いことから、投資や開発サイドにとって大きな負担になっていると警告した。

(出典:Xangle「イーサリアムのオンチェーンステータス 取引量・取引数(左)と手数料(右)」)

さらに、イーサリアム(ETH)価格自体も8月14日から7%ほど下落していることに注目。イーサリアムを含め、DeFi関連投資について注意深く進めた方がよいと述べた。

”ビットコイン越え”のDeFi なぜ人気?

DeFi関連の話題はつきない。

7月に新たに発行されたDeFiトークン「yearn.finance(ヤーン・ファイナンス)」がビットコイン(BTC)の価格を上回った。また先日一気にトークン価値がゼロに急落したYams(ヤム)は、バージョン2で立て直しを図っている。

ヤーン・ファイナンス創設者のアンドレ・クロニー氏は、ヤーン・ファイナンスのことを「イールド最大化ロボット」と描写。ヤーン・ファイナンスのスマートコントラクトに、例えばDaiを送ることで、ヤーン・ファイナンスのロボットはコンパウンドやAaveなどの中からどのDeFIプラットフォームが最も高いリターンをもたらすかを特定する。

DeFiプロトコルに参加して活動することでトークンを獲得する流動性マイニング(もしくはイールフォ・ファーミンング)への熱狂が収まらない中、どのDeFI投資戦略が最適かをヤーン・ファイナンスが教えてくれることになる。

また、ヤーン・ファイナンス保有者は、ヤーン・ファイナンスネットワーク統治方法を決める投票権を獲得する。現在、10億ドル(約1060億円)ほどがロックアップされているヤーン・ファイナンスは、5%のパフォーマンス手数料と0.5%の出金手数料を徴収している。トークン保有者はこの巨大な金融システムへの影響力を持てることになる。

DeFiは本物か?専門家の間でも議論はつかない。

コインテレグラフのYouTubeレギュラー出演者である龍門キャピタル日本代表のサニー・ワン氏は、現在のDeFiの状況を「群盲象を表す」と描写した。誰もがDeFiとか何かそれぞれの立場から観察して発言している状態に過ぎず、すべての人が納得する一般解は見つかっていない。

とはいえワン氏は、DeFiがブロックチェーンの原点であるという結論に至っている

DeFiが一過性のブースに終わらずに既存の金融を変えるのか?もし変えるとしたら、どのように変えるのか?引き続き注視が必要だ。