株式投資で資産を増やす場合、有望な投資先を見つける必要がある。「知っている企業だから」「ランキング上位だから」という理由で、何となく投資先を選ぶのはリスクが高く、結果も出にくいだろう。

初心者が優良株を探すときは「会社四季報」を活用するのがおすすめだ。会社四季報には全上場企業の情報が網羅されており、「株式投資のバイブル」として個人投資家に人気がある。会社四季報が読めるようになれば、優良株を探しやすくなるだろう。

今回は会社四季報の特徴や読み方、注意点について詳しく解説する。


会社四季報とは

会社四季報とは、東洋経済新報社が発行している上場企業のデータブックだ。全上場企業の基本情報や業績などが掲載されており、株式投資の情報源としてはもちろん、取引先の調査やマーケティング、就職活動など広く活用されている。

1936年の創刊以来、「株式投資のバイブル」として個人投資家に親しまれている。また、証券会社や金融機関などのプロからも信頼を得ており、類似書では高い市場シェアを誇る。


2期分の業績予想が掲載

会社四季報は、独自取材によって2期分の業績予想が掲載されているのが特徴だ。企業自体が行っている予想とは別に、中立的・客観的立場から売上高、営業利益などの業績予想を行っている。全上場企業について、2期分の業績予想をカバーしている書籍はほとんどない。

株価には、現在の業績だけでなく将来の業績予測も織り込まれている。そのため、先を見通した2期予想は、投資判断において重要な情報といえるだろう。

発行は年4回

会社四季報の発行は年4回だ。3月(春号)、6月(夏号)、9月(秋号)、12月(新春号)の中旬に発売され、それぞれ特徴が異なる。

たとえば、春号には3月実績(上場企業の約7割が3月決算)と新年度の業績予想が収録されており、前期実績との比較を中心とした編集部のコメントが多く掲載されている。

また、事業年度の折り返し地点が過ぎる新春号では、大胆な上振れ・下振れ予想が出てくるため、サプライズ銘柄を発掘しやすい傾向にある。

会社四季報を読むべき理由

これまで知らなかった投資先企業を見つけられる

会社四季報には、全上場企業の情報が詳細に掲載されている。上場企業の数は3500社を超えるため、社名を聞いたことがない企業がたくさんあるだろう。

空いた時間に会社四季報のページを眺めるだけでも、これまで知らなかった投資先企業を見つけられる。気になる企業の情報を読み込めば、思わぬ優良株に出会えるかもしれない。


多くの投資家が会社四季報をチェックしている

上場企業の情報が掲載されている代表的な書籍は、「会社四季報」と「日経会社情報(日本経済新聞社)」の2つがある。どちらも株式投資の情報収集で利用できるが、会社四季報のほうが利用者は多い。

株価は投資家の動向によって左右されるため、株を選ぶ際には多くの投資家が利用している情報を確認しなくてはならない。株式投資に取り組むなら、会社四季報を読むことが大切だ。


会社四季報の読み方

出所:会社四季報 2021年 3集 夏号から画像を作成

会社四季報には、上場企業の基本情報や特色、四季報編集部のコメント、財務、業績などがコンパクトにまとめられている。

会社四季報を読みこなすには、どのような内容が掲載されていて、どんなことが読みとれるのかを理解しなくてはならない。ここでは、会社四季報の掲載内容と読み方について確認していこう。


①基本情報、業種

社名や本社住所などの基本情報、業種などを知ることができる。「特色」では、ビジネスモデルや市場シェア、「連結事業」では事業構成比と各事業の売上高利益率が掲載されているので、企業の事業内容や強みが理解できるだろう。上記画像のトヨタ自動車の例では、「自動車90(7)」と記載されている。これは自動車による売上が全事業のうち90%、営業利益率が7%という意味である。

②業績・材料記事

業績・材料記事は、会社四季報で必ずチェックしておきたい項目の1つだ。業界担当記者の取材に基づき、記事の前半は業績予想数字、後半は企業評価の手がかりとなる材料についてのコメントが掲載されている。

業績・材料記事を読めば、業績の変動要因や業績予想数字の根拠、投資判断材料がわかるため、投資銘柄探しのヒントを得られるだろう。

③業績数字

業績数字では、売上高や営業利益、純利益などの実績と会社四季報独自の2期予想が掲載されている。決算期別に数字が掲載されており、業績がどのように推移しているか一目でわかるのが特徴だ。業績・材料記事と併せて確認すれば、企業業績の内容を理解しやすくなる。

業績数字の主な項目の意味は以下の通りだ。

  • 売上高:企業が商品・サービス提供で得た1年間の売上金額の総額
  • 営業利益:売上高から売上原価、販売費・一般管理費を差し引いた本業の利益
  • 経常利益:営業利益から為替差損益や利息などの営業外収益を調整した利益
  • 純利益:経常利益から特別損益、税金を調整した最終利益

投資銘柄を選ぶ際に必ずチェックしたいのは、売上高と営業利益の推移だ。企業が今後も成長を続け、安定した収益を得るには売上高の拡大が欠かせない。売上高を伸ばせなければ、経費を削減するしか利益を確保する手段がないからだ。

売上高と同じように、営業利益も増加傾向にあるのが理想だ。いくら売上高が伸びていても、売上を超える経費がかかると利益を確保できない。営業利益は本業の利益であるため、通常は営業利益が伸びていれば経常利益や純利益も確保できる。

配当金収入を目的に株式を長期保有する場合は「1株配(1株当たり配当金)」も確認し、売上高と営業利益が増加傾向かつ毎年一定の配当が出ている銘柄を探すといいだろう。

売上高や営業利益の減少が続いている企業は、本業がうまくいっていない状態であるため、投資は避けたほうが無難だ。ただし、売上高や営業利益の減少が一時的なもので、翌期以降に回復する見通しであれば、株を安く買えるチャンスと捉えることもできる。

たとえば、新規事業の開始で経費がかさみ、営業利益がマイナスになったが、翌期以降は事業が軌道に乗って利益を確保できる見込みとの計画をたてているかもしれない。会社計画を上回る水準で業績が回復すれば、株価上昇によって大きな利益を得られる可能性がある。

売上高や営業利益が一時的に下がっている企業をピックアップし、業績・材料記事で理由と今後の見通しを確認すれば、お宝銘柄を見つけられるかもしれない。

また、業績数字の一番下には会社自身が出している業績予想数字も掲載されている。四季報予想と会社予想の数字に差があると、会社は後日上方修正を発表して株価が上昇する可能性がある。四季報予想と会社予想数字だけをチェックして、その差が大きい企業を探すという使い方もあるだろう。

④前号比矢印・会社比マーク

誌面の右側(欄外)には、前号比矢印と会社比マークが掲載されている。

前号比矢印は、四季報予想の前号からの見直しを表しており、今号の業績予想を上方修正したときは「↑」、下方修正したときは「↓」が入る。

また、四季報予想と会社予想に差がある会社には会社比マークがつき、四季報予想の営業利益が強気か弱気かによってマークが変わる。

前号比矢印と会社比マークを確認すれば、四季報予想と会社予想の乖離率が大きい企業がわかるため、上方修正の可能性がある銘柄を見つけやすいだろう。


⑤配当

配当では、株主が受け取った配当金の実績と予想配当利回りが掲載されている。

株式を長期保有する場合、安定した配当収入は大きな魅力だ。増配が続いている企業は、株主還元を強化していると判断できるため、長期保有しやすいだろう。

株式分割などで発行済株式数が変化した場合も時系列で比較できるように、1株配は影響を調整した額が掲載されている。配当を目的に投資銘柄を探す場合は、配当の掲載内容に目を通しておこう。


⑥株主、役員・連結会社

「株主」「役員」「連結」は、経営が不安定なときは一気に内容が変わることがある。定期的に株主や役員を確認し、前号と比較して大きな変化が生じていないかチェックしておくことが大切だ。

「投信」は、投資信託に組み入れられている株式の割合、「浮動株」は1単元以上50単元未満の株主が所有している株式の割合を表す。投信の割合が高い銘柄は機関投資家、浮動株の割合が高い銘柄は個人投資家を中心に取引されていると読みとれる。

機関投資家が保有している銘柄は、株価が比較的安定している。ただし、不祥事などが発覚して機関投資家が保有株を大量に売却すれば、ストップ安の水準まで株価が暴落し、その後もしばらく低迷する可能性がある。

一方で、個人投資家が中心の銘柄は、値動きが不安定になること多い。ただし、株価が下落しても適当なタイミングで買いを入れるなど、投資家によってニュースの受け止め方が異なるため、多様な値動きが生じることがある。

投資銘柄を選ぶ際は浮動株の割合に注目し、機関投資家と個人投資家の違いを意識するといいだろう。投信や浮動株は「~%だから高い(低い)」という基準はないため、同業他社と比較が重要になる。


⑦財務

財務では、自己資本比率や有利子負債、キャッシュフローなど、企業の安全性を測る代表的な指標が掲載されている。

自己資本比率は、一般的には50%以上あれば安全性は高く、倒産リスクは低いといえる。ただし、業種によって平均値は異なるため、ライバル企業と比較した上で判断することが大切だ。

また、キャッシュフローは実際の現金の出入りを表している。営業キャッシュフローの赤字が続く場合、営業活動の現金支出を現金収入でカバーできていないので注意しよう。


⑧資本移動・外国人持株

資本移動では株式分割や株式併合などの情報、発行済株式数の推移を確認できる。また、外国人持株では、外国人持株比率がどのように変化しているかがわかる。

外国人持株比率が高い銘柄の場合、外国人投資家の動向によって株価が大きく変動する可能性がある。海外勢の動向を確認したい場合は、外国人持株の数字をチェックするといいだろう。

日本の証券市場において外国法人等の株式保有率は3割程度であることから、外国人持株比率は30%が目安となる。ただし、「~%なら高い(低い)」という基準は存在しないため、同業他社との比較で判断することが大切だ。

また、前号より外国人持株が上昇していれば、海外勢の注目が高まっていると判断できるため、買い材料の1つとなるだろう。


⑨株価指標・株価チャート

予想PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)は、株価が割安か割高かを判断する参考となる指標だ。

一般的にPERは15倍、PBRは1倍を下回ると割安だといわれる。しかし、業種によって事業の状況や将来性は異なるため、ライバル企業との比較が重要だ。

会社四季報には予想PERとPBRの業種別平均が掲載されているので、投資判断に利用できる。株価チャートで大まかな株価推移も確認したうえで、買い時を判断するといいだろう。


会社四季報の上手な活用法

書籍とネットをうまく使い分ける

会社四季報は、書籍とネットで特徴が異なる。

書籍は全上場企業の情報が1冊にまとまっているため、データ全体をざっくりと確認するのに適している。一方で、ネットは条件に合った企業を抽出して分析したり、最新情報をチェックしたりするのに向いている。


チェックするポイントを絞る

会社四季報は情報量が膨大なので、すべてのデータを読み込むのは難しい。チェックするポイントを絞り込み、必要な項目だけを読むのがコツだ。

たとえば、投資対象となる業種を決めておけば、情報を確認する企業数は限定される。また、前号比矢印と会社比マークだけを確認し、四季報予想と会社予想の乖離が大きい企業をピックアップするといった使い方もあるだろう。

情報を短時間でチェックできるように、あらかじめ確認する項目を決めてから読み始めよう。

最新情報をチェックする

実際に会社四季報で買いたいと思う株が見つかったら、株価や株価指標、リリースなど最新情報を確認しよう。会社四季報の発行は年4回であるため、情報が少し古くなっている場合がある。タイムリーな情報を仕入れるためには、企業のホームページや証券会社の提供している情報を活用しよう。


会社四季報を読みこなして優良株を探そう

会社四季報を読みこなすことができれば、他の投資家がまだ注目していない優良株を発掘できるかもしれない。実際に株式を売買する際には、会社四季報だけでなく、決算短信や有価証券報告書、株価チャートやニュースなどを活用し総合的に判断する必要がある。株式投資で資産を増やしたいなら、投資の判断材料の一つとして会社四季報の読み方をマスターしよう。

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