金融技術が進化する中で中央銀行が担う役割について議論するため、タイ中央銀行(BOT)と国際決済銀行(BIS)の共同主催による会議がタイで開催されており、世界中の中央銀行総裁が現在、タイに集まっている。

デジタル化された通貨システムに関するパネルディスカッションでは、香港金融管理局のエディ・ユエ局長、韓国銀行のイ・チャンヨン総裁、ニュージーランド準備銀行のエイドリアン・オア総裁、国際決済銀行のセシリア・スキングスレー氏が登壇し、デジタル資産や中央銀行デジタル通貨(CBDC)の台頭と、この新技術に伴うリスクについて議論が交わされた。

香港金融管理局のユエ局長は、ブロックチェーン技術の革新と利点、および考えうる中央銀行への影響について意見を述べ、長期的にはCBDCとステーブルコインが、より効率的で費用対効果の高い取引方法をもたらす可能性があるとした。しかし、どんな新しい技術にも、革新に伴う一定のリスクや運用リスクが伴うと指摘した。

ユエ局長は、ブロックチェーンはもともと非中央集権的な技術であるため、チェーン上のリスクを軽減するのがはるかに複雑であることを指摘した。そのため、規制当局はオフチェーンでの活動に注力するべきであるとし、次のように説明した。

「仮想資産の取引所を規制するなど、オフチェーン活動の規制から始めることができる。香港は近々、AML(反マネーロンダリング)だけでなく、投資家保護の面でも規制を導入する」

同局長はまた、香港政府がステーブルコイン業界の規制に関する国際的なコンセンサスに沿って、別の規制導入にも取り組んでいることを明らかにした。

韓国銀行のイ・チャンヨン総裁は、最近の仮想通貨危機の伝播を踏まえ、ブロックチェーン技術、特に通貨分野の将来について、あまり楽観的な姿勢を示さなかった。同総裁は、「最近はこの技術的発展の恩恵を受けているのかどうか」あまり確信が持てないと述べた。