米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は、政権交代による仮想通貨規制への影響を抑えるため、より持続性のある制度改革を目指すべきだと述べた。

ピアース氏は3月26日に開催されたDCブロックチェーンサミットで登壇し、SECのルール制定や米議会による立法を通じて、デジタル資産に関する規制に「耐久性」を持たせることができるとの見解を示した。こうした規制確立は、例えば最近SECが発表した「ミームコインは証券に該当しない」といったガイダンスのような、非拘束的な声明とは対照的なものになるという。

「人々がハウィーテストのことばかり考えるような状況になってほしくない」とピアース氏は語った。ハウィーテストとは、資産が証券に該当するかどうかを判断するための基準だ。

「もちろん弁護士はそこに気を配る必要があるが、そうした懸念だけでプロジェクトの構想を左右されるようなことがあってはならない。我々の管轄に何が該当するのかが明確になり、そして該当するならば、そこからどう進めればよいのかという道筋を提示できる状態にしたい」と述べた。

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DCブロックチェーンサミットでのピアース氏. Source: Rumble

ピアース氏の発言は、SECがコインベースリップルクラーケンイミュータブルといった主要仮想通貨企業に対する調査や訴訟を相次いで取り下げている中で行われた。

この動きは、マーク・ウエダ委員長代行の下でSECが方針転換した結果だが、2024年の大統領選で支援を受けた企業への追及を控えるよう、トランプ大統領が指示しているのではないかとの見方もある。

2025年1月に第119議会が開会して以降、議員らは、SECと商品先物取引委員会(CFTC)がデジタル資産に対して果たすべき役割を明確にする市場構造法案の策定を進める意向を示している。トランプ大統領は就任3日目に大統領令を署名し、ステーブルコインの規制枠組みの検討などを目的とした作業部会の設置を命じている

SEC新委員長は?

トランプ大統領が2024年12月にSEC委員長として指名したポール・アトキンス氏は、3月27日に上院銀行委員会に出席する予定であり、仮想通貨規制に関する見解を問われる見込みだ。

アトキンス氏は元SEC委員で、現実資産のトークン化プラットフォーム「セキュリタイズ」に出資しているほか、FTX関連のコンサルティング企業とも関係を持っており、仮想通貨業界内では一定の支持を集めている。

銀行委員会で承認されれば、アトキンス氏は2031年までの任期を持つSEC委員として本会議で採決されることになる。