ドナルド・トランプ次期大統領は、仮想通貨に積極的な実業家であり、証券取引委員会(SEC)元委員のポール・アトキンス氏をトランプ政権の次期SEC委員長に指名した。

これにより、現職のゲイリー・ゲンスラーSEC委員長を交代させるという約束を果たし、仮想通貨業界を喜ばせた。

アトキンス氏が2025年に議会で承認されると予想される中、彼は仮想通貨業界にどのような変化をもたらすのだろうか。

SECからパトマックへ、そして再びSECへ

アトキンス氏は、2002年7月から2008年8月まで、ジョージ・W・ブッシュ政権下でSEC委員を務めた。当時から彼はすでにイノベーションと投資を支持し、過剰な規制に反対していた。

「SECは負担の大きい規制によって投資家を市場から締め出したり、無意味な命令によって彼らの投資の成果を食い尽くすべきではない」と、2007年のコーポレート・ディレクターズ・フォーラムでのスピーチで語った

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2005のシンポジウムで講演するアトキンス氏. Source: St. Gallen

アメリカの法律事務所アンダーソンPCによると、アトキンス氏は、執行措置における「比例性」を重視し、個別の不正行為に基づいて企業への巨額の罰金を科すことに反対し、複雑で微妙なケースに焦点を当てる傾向があったという。「彼の指導の下、SECは新聞の見出しを飾る事件を優先する攻撃的な戦術から、実質的な成果を重視する方向に移行する可能性がある」とアンダーソンの弁護士たちは書いている。

今週のアンチェインド・ポッドキャストで、デジタル商工会議所のコーディ・カーボーン氏は、アトキンス氏が現SECスタッフ、特に共和党系委員のヘスター・ピアース氏(通称クリプトママ)やマーク・ウエダ氏と既に親しい関係にある点が重要だと語った。

ピアース氏とウエダ氏は、アトキンス氏の6年間のSEC在職期間中、彼のスタッフだった。「今後の委員会の運営を考えると、彼らは既に親しい関係性がある。彼らは過去に袖をまくって一緒に戦ってきた」とカーボーン氏は語った。

SECを離れた後、アトキンス氏は2009年に金融セクターのコンサルティング会社パトマック・グローバル・パートナーズを設立した。パトマックは、規制に関するアドバイス、リスクコンプライアンスサービス、執行および訴訟サポートを専門としている。

注目すべきは、パトマックが2022年1月にサム・バンクマン-フリード氏の仮想通貨取引所FTXと契約していたことだ。これはFTXが破産する10ヶ月にあたる。

2023年のポッドキャストで、アトキンス氏はFTX危機が「国際的な大惨事」となった唯一の理由は、アメリカがデジタル資産に対応する明確なルールを設けなかったからだと語った。とはいえ、バンクマン-フリード氏の不正行為が破綻の主な原因であったことを認めている。

2017年以降、アトキンス氏はデジタル商工会議所の仮想通貨ロビー団体「トークン・アライアンス」の共同議長を務めており、明確な規制を導入し、仮想通貨の普及を促進することを目指していた。

彼はデジタル資産とイノベーションの熱心な支持者であり、ゲンスラー体制下のSECによる仮想通貨業界への「執行による規制」アプローチに何度も反対の声を上げてきた。

2019年には、アトキンス氏は、投資家保護と新興産業への規制負担の軽減をバランスさせるためにSECを再編するべきかについて議会で証言している

SECの人事異動

トランプ氏がアトキンス氏を次期SEC委員長に指名したが、まだ確定したわけではない。議会と上院は大統領の指名を否決することができ、トランプ氏の物議を醸す人事のいくつかではそれが起こる可能性がある。

しかし、デジタル商工会議所のカーボーン氏は、上院銀行委員会が他の省庁や機関の指名をどれだけ迅速に進めるか次第だが、2025年3月にはアトキンス氏の指名が承認されると予想している。

SECは5人の委員で構成されている。現在、SEC委員には2人の共和党系委員(ヘスター・ピアース氏とマーク・ウエダ氏)、そして3人の民主党系委員(キャロライン・クレンショー氏、ゲイリー・ゲンスラー氏、ハイメ・リザラガ氏)という配分になっている。しかし、ゲンスラー氏リザラガ氏は1月に退任することを発表した。

一方、ビットコイン上場投資信託(ETF)に反対した仮想通貨批判派であるクレンショー氏は、再指名投票が無期限で延期され、彼女が続投するかどうかは不透明になっている。

トランプ氏の就任後、新政権の下でSECは3人が共和党系委員となり、多数を占める見込みだ。トランプ氏が慣例(同じ政党からは3人まで)を破って、リザラガ氏の後任に4人目の共和党系委員を指名する可能性があるという憶測もあるが、現時点では純粋な推測に過ぎない。

アトキンス氏の仮想通貨規制への影響

リッカ・グループの創設者であるチャーリン・ホー氏は、アトキンス氏が仮想通貨業界の規制方法に「多くの変化」をもたらすことは間違いないが、一度にすべてが変わるわけではないとコインテレグラフに語る。

ホー氏は、米国が欧州連合の暗号資産市場規制(MiCA)のような包括的な規制を導入す可能性は低いと考えている。

むしろ、アトキンス氏が率いるSECは、方向性を示し、規制の障害を取り除くことに焦点を当てるだろうと予想している。

「トランプ氏とアトキンス氏は新しい規制を作ることに反対し、むしろ仮想通貨業界がどこで活動できるかに明確性を与えようとするだろう」とホー氏は話す(とはいえ、すでにステーブルコイン法案や、下院を通過した仮想通貨の規制枠組みを提供する「21世紀の金融イノベーションと技術法(FIT 21)」など、多くの仮想通貨関連法案が審議中だ)。

アトキンス氏は前任者のゲンスラー氏のアプローチを踏襲することはないだろう。ゲンスラー氏のアプローチは、仮想通貨規制に対して過度に攻撃的であり、SECがその権限を超えて「規制による執行」を行っているとして批判されてきた。

「コインベースやリップルのような訴訟の共通テーマは、SECがその権限を超えていることだ」とホー氏は語った。「技術的には、法律を制定するのは議会であるべきだ。それらの法律は、SECのような行政機関に解釈する権限を委任するが、委任された範囲内でのみ解釈するべきだ」とホー氏は指摘する。

昨年2月23日のポッドキャスト「フリー・ザ・ピープル」で、アトキンス氏は、SECがより対話的であれば、米国での仮想通貨業界にもっと成長の機会があっただろうと語った。「もし当局が融通を利かせ、様々な企業と率直に向き合っていたなら、もっと米国内で物事が進むことになり、その方が良かった」とアトキンス氏は語った。

同じポッドキャストで、アトキンス氏は2021年にピアース委員が提案したトークン・セーフ・ハーバーを支持する姿勢を示した。これは、SECへの登録を求める前に仮想通貨開発者に対して一定の猶予期間を与えるというものだ。

アトキンス氏就任ですぐ大改革とはならない

ホー氏は、仮想通貨業界の専門家たちが規則の迅速な見直しを期待している点を懸念する。

「ゲンスラー氏によって設定された前例がまだ残っており、新しい委員が任命されたからといって、これまでの法的作業や前例がすべて消えるわけではない」とホー氏は指摘する。

アトキンス氏がSECトップに就任したからといって、クラーケン、コインベース、リップルなどの大手企業に対する訴訟をすぐにすべてを放棄し、仮想通貨支持の立場を取ることはできないとホー氏は語る。「アトキンス氏がSECの立場を変えたいなら、単にそう宣言するだけではできないだろう。彼らは法的手続きを経て、主張を変更するための正当性を持たなければならないだろう」。

「もし彼らが原告であれば、訴訟を完全に取り下げることができる。しかし、手続きの途中であれば、委員はそのプロセスですべてを完全に変える無制限の裁量を持つわけではない。一定の制約を受けることになるだろう」

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