米ブロックチェーン企業リップル・ラボと米証券取引委員会(SEC)の長期にわたる訴訟が、裁判所の承認を条件に正式に決着を迎える可能性が出てきた。

3月25日、リップルのチーフリーガルオフィサー(CLO)であるスチュアート・アルデロティ氏はX(旧Twitter)で、「これが『SEC対リップル』についての最後の更新になるはずだ」と述べ、リップルが米第2巡回区控訴裁判所におけるSECへのクロスアピール(反対上訴)を取り下げる方針を明らかにした。

この決定により、2024年8月にニューヨーク南部地区連邦地裁が下した1億2500万ドルの支払い命令が基本的に維持されることになるが、SECが保有するのはそのうちの5000万ドルにとどまり、残額はリップルに返還される見通しだ。

「SECは、同庁の要請で以前に課された標準的な差止命令(インジャンクション)の解除を裁判所に求める予定だ」とアルデロティ氏は述べている。「いずれも、委員会での投票、最終文書の作成、通常の裁判所手続きを経ることが前提となる」という。

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Ripple chief legal officer statement on latest development with SEC case. Source: Stuart Alderoty

アルデロティ氏は3月11日、コインテレグラフに対し、双方が上訴と反対上訴を取り下げることで、1億2500万ドルの判決がそのまま確定することになると説明していた。ただし、両当事者が連名でトーレス判事に対し、判決の修正を求めることも可能だという。

リップルと政治の接点

SEC対リップルの訴訟は、トランプ政権下の2020年12月にSECが提起したもので、米国の主要な暗号資産企業に対する同庁の執行措置としては最長クラスのものとなった。

ガーリングハウスCEOは、2024年12月に放送されたインタビューで、当時SECがゲンスラー委員長ではなかったら、リップルはここまで米国政治に関与しなかったかもしれないと語った。ただし、訴訟自体は前任のクレイトン委員長の下で提起されたものである。

リップルは2024年の選挙期間中、「プロ・クリプト」な候補者を支援する政治活動委員会「フェアシェイク」に4500万ドルを拠出し、さらにトランプの就任記念基金に500万ドル相当のXRPを寄付している。もっとも、アルデロティ氏はコインテレグラフに対し、SECによる訴訟取り下げと政治献金との関連性は「無関係」であるとの見解を示した。

2024年11月の大統領選でトランプ氏が当時の民主党副大統領カマラ・ハリス氏に勝利して以降、ガーリングハウス氏とアルデロティ氏は、ワシントンD.C.での就任関連イベントに公式ゲストとして出席した。また、ガーリングハウス氏は3月7日にホワイトハウスで行われたサミットにも参加し、トランプ氏とステーブルコインや暗号資産規制に関する方針を協議したという。

3月27日には、上院銀行委員会が元SEC委員ポール・アトキンス氏をSEC委員長に再任するための指名審査を行う予定であり、同氏の暗号資産規制への姿勢や利害関係の可能性についても問われる見込みだ。