米証券取引委員会(SEC)の前委員長ゲイリー・ゲンスラー氏は、公の場で示していたほど仮想通貨に敵対的ではなかったかもしれない。米下院金融サービス委員会の元委員長であるパトリック・マクヘンリー氏が5月13日、ポッドキャスト「クリプト・イン・アメリカ」に出演し、その裏側を語った。

マクヘンリー氏は、ゲンスラー氏と行った非公開の会談において、デジタル資産に対するより柔軟な見解を示していたと明かしている。

「プライベートの場でも、彼は公の場と同じくらい反仮想通貨的だったのか?」との問いに対し、マクヘンリー氏は「いや……違う」と明確に否定した。

ゲンスラー氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)在職時にブロックチェーン技術の可能性を認め、デジタル資産の価値についても理解を示していたという。

セイ・ラボのジェラルド・ギャラガー氏も、ゲンスラー氏が学術的な研究の一環として「エアドロップ」という概念の発展に関わっていたことを指摘し、「あまり知られていない経歴の一部だ」と述べている。

しかし、SEC委員長に就任してからのゲンスラー氏は、まるで別人のように姿勢を変えたとマクヘンリー氏は語った。「SEC委員長として彼がここまでひどくなるとは思っていなかった。まったくの誤算だった。正直、愕然とした」と率直な思いを語った。

ゲンスラーとの会話はいつも矛盾していた

マクヘンリー氏によれば、仮想通貨規制に関するゲンスラー氏との議論は、常に「混乱させられるものだった」という。

法的枠組みや規制方針に関しては、一見合理的な議論が交わされるが、途中で前言を翻すこともあったと説明。「最初は同意していたはずの内容を、数分後には否定するようなやり取りだった」と振り返っている。

この変節ぶりについて、マクヘンリー氏は「ゲンスラー氏の公的な強硬姿勢は、上院での承認手続きや政治的な思惑に左右された可能性が高い」と分析している。

ゲンスラー氏は2021年にSEC委員長に就任後、仮想通貨業界に対して100件を超える規制措置を講じた。これが業界内での強い反発を招いた。

2024年12月には、コインベースのブライアン・アームストロングCEOが、「仮想通貨業界を違法に潰そうとする勢力」として、元SEC関係者を抱える法律事務所との関係を断つと発表した

また2025年1月には、仮想通貨取引所ジェミナイが「MITがゲンスラー氏を教員として残す限り、同大学の卒業生を採用しない」と声明を出している

現在ゲンスラー氏は、MITに戻り、フィンテックとAIに関する講義を担当している。

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