破綻した仮想通貨取引所FTXは、2022年の取引所の崩壊により影響を受けた債権者への返済に使用するため、約8億7300万ドル(約1284億円)の信託資産を売却する許可を得た。

11月29日のデラウェア州の破産裁判所への提出文書によると、8億7300万ドルの資産は、仮想通貨運用会社グレイスケール・インベストメンツが発行する様々な信託のFTXの持分が8億700万ドル、カストディサービスプロバイダーのビットワイズの信託分が6600万ドルになるという。裁判所の文書は合計7億4400万ドルの資産となっているが、これは2023年10月25日時点の評価額である。資産はその後価値が上がっている。

今回の承認の4週間前には、FTXの債権者が11月3日にジョン・ドーシー判事に対し、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)、グレイスケール・イーサリアム・トラスト(ETHE)、ビットワイズ10クリプト・インデックス・ファンド(BITW)など6つの仮想通貨信託の売却を求める動議を提出していた

FTXは現在、グレイスケールのGBTCの2200万株を保有しており、現在の価値は6億9100万ドル(1017億円)になる。また、ETHEの630万株は現在約1億600万ドル(156億円)の価値がある。

ほかには、グレイスケールのイーサリアム・クラシック・トラスト(ETCG)、ライトコイン・トラスト(LTCN)、デジタル・ラージ・キャップ・トラスト(GDLC)も売却できる信託としてリストアップされている。

売却可能な信託の価値は10月25日時点で7億4400万ドルだったが、その後その価値は上昇している. Source: Kroll

FTXの管理者であるジョン・J・レイ三世氏は、サム・バンクマン-フリード氏の帝国が2022年11月に崩壊して以来、資産の回収に取り組んでいる。

これまでに約70億ドルの資産が回収され、そのほぼ半分が仮想通貨(34億ドル)の形である。6月には、FTXは顧客資産の不正使用総額が87億ドルに上ると推定していた。

一方、バンクマン-フリード氏は11月2日に7つの詐欺関連の罪で有罪判決を受け、3月28日に判決を受ける予定だ。彼は現在、ブルックリンのメトロポリタン拘置所に収監されている

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン