国際決済銀行(BIS)の総支配人アグスティン・カルステンス氏は、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)に関して、批判的見解から一転し、支援する姿勢を示した。英フィナンシャルタイムズとのインタビューで中央銀行を支援する意向を示した。
カルステンス氏は昨年7月、「仮想通貨はマネーとしての機能を引き受けることができない」「バブルであり、投資詐欺であり、環境災害だ」などと発言するなど、仮想通貨批判の急先鋒の一人だ。
カルステンス氏は今年3月の演説でも、中央銀行デジタル通貨について、さまざまなリスクをあげ、急ぐべきでないと発言していた。
しかし今回のインタビューでカルステンス氏は、法定通貨のデジタル通貨版の発行について、多くの中央銀行が取り組んでおり、我々も取り組み、支援すると述べた。
「そして、すでに市場が存在して中央銀行がデジタル通貨を提供することを可能にする必要があり、我々が考えるより早い時期かもしれない」
中央銀行がデジタル通貨を導入する流れは世界各国で広がっている。国際通貨基金(IMF)が6月27日に発表したレポートによれば、ウルグアイやスウェーデンなど複数の国が導入に向けて動き出している。カルステンス氏の態度軟化も、このような動きが背景になるのかもしれない。
最近BISが発表したリポートの中では、フェイスブックが開発中の独自仮想通貨「リブラ」についても触れている。テック企業の顧客データはより効果的な意思決定や金融サービスを提供するための障害を減らすことができると評価する一方で、巨大テック企業の台頭に対して規制当局や中央銀行が規制を整備する必要もあると指摘した。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版