R3は昨年、資金調達で2億ドルを集めるという現在より大きな目標を掲げていた。それは研究を行う子会社の株式を売却する計画に基づいたものであったが、米フォーチュンは、その計画が中止されたと報じた。匿名のR3元社員はフォーチュンに対し、コンソーシアムの内部の財務目標は、同社の収益では「10倍足りない」ものであり、目標の数値は「ばかばかしいほど的外れ」だと述べた。

 R3のチャーリー・クーパー取締役は、同社は収益不足の危機にはなく、年末に財務状況について最新情報を公表する予定だ、とフォーチュンに語っている。

「我々は現在、十分な額以上の資金を有しており、現段階で追加資金を集める計画はない」

 コインテレグラフがコメントを求めると、クーパー取締役は次のように回答した。

「これは全面的に事実と異なる。今日まで、45以上の組織から1.2億ドル以上を集めており、企業ブロックチェーン界で最も幅広く、最大の資金基盤を持っている。R3に対して強い関心が持たれ続けていることはわかっているが、今は、この先数年間のために十分な額以上の資金を有している」

 フォーチュンのR3の記事について、クーパー氏はコインテレグラフに次のように語った。

「ブロックチェーンは信じがたいほど競争の激しい業界で、時々汚い手を使う人がいるのが嫌な現実だが、この記事で書かれたR3の話は完全に不正確だ。この記事は、事実に反する悪意に満ちた発言だらけだ。挙げられた数値はすべて、収益からコルダ(Corda)に取り組む開発者の数まで、非常に大きいか小さいかで誇張されていて、明らかにR3の評価に傷をつけようと意図されていた。フォーチュンがこれらの発言を信用し、記事で事実として伝えることを選んだことに失望している」

 外為決済仲介のCLS銀行は5月末、R3の資金調達の第3ラウンドの一環として同社に500万ドルを投資したと報じられている

 匿名のR3元社員はフォーチュンに対し、コンソーシアムが直面している問題の1つがR3のコルダ・ブロックチェーンの開発者不足だ、と話した。

「R3は1300人の設計者がコルダに寄与していると言うのだが、一般公開されているR3の記録を見ると、たった3人しか記載されていないことがある。イーサリアムの一般向けバージョンには、1万人の開発者が寄与していた」

 R3の創設メンバーには巨大銀行のJPモルガンとゴールドマン・サックスが含まれていたが、ゴールドマン・サックス(及びサンタンデール銀行)は16年にコンソーシアムを去った。ゴールドマン・サックスの匿名の情報提供者は、同行が離れたのはコンソーシアムが予想外に大規模だったからだ、とフォーチュンに話した。

 R3は先頃、スタートアップのブロキシアン・テクノロジーと提携を結んだ。これは、銀行と提携するビジネスモデルから離れる一歩として注目に値する。フォーチュンによると、R3が企業ブロックチェーンの販売に方向を変えるということは、今や同社が競合しているのは、JPモルガンやマイクロソフトなどをメンバーに持つイーサリアム企業連合やハイパーレジャーなどの組織だ、ということを意味している。

 またR3は昨年、リップル(XRP)を相手に訴訟を起こした。R3が19年末までに50億のXRPトークンを0.0085ドルで購入するという契約に、リップルが違反したと主張した。リップルは、R3が契約内容を最後まで履行しなかったと申し立て、支払い義務を否定している。裁判は、ニューヨークで開かれる予定だ。50億XRPの価値は約33億ドル相当となっており、これが資金注入を切望していることことの表れかもしれない、とフォーチュンは伝えている。