欧州中央銀行(ECB)はグローバルステーブルコインに関する最新レポートの中で、リスクと現在の規制のギャップを指摘し、リスクに対処するための強力な規制フレームワークを導入する必要があると主張している。

5月5日に公表したレポートで、「グローバルステーブルコインの潜在的なメリットを享受するためには、こうした取り決めが機能する前に、これらのリスクに対処するための強力な規制フレームワークを導入する必要がある」と書いている。

潜在的な可能性とリスク

ECBのレポートでは、グローバルステーブルコインがもたらす決済の高速化やシンプルさといったメリットにも触れている。

しかし、ECBは金融の安定性へのリスクや起こり得るシステム的問題などを提起し、グローバルステーブルリスクがもたらす様々なリスクや困難もピックアップしている。

リスクの1つは、ステーブルコインがその価値を失ってしまうケースだ。ステーブルコインが価値を支える資産による裏付けを失ってしまえば、ユーザーが「安定した」価値を現金化できなくなってしまう。

「『安定した』価値を約束し、いつでもコインを法定通貨に換金できる可能性を考慮すると、エンドユーザーはステーブルコインを預金と同じものであるとみなすリスクがある」

規制の空白に陥ることを懸念

レポートでは規制の問題にも触れ、ボーダーレスなステーブルコインは、現在の政府の規制フレームワークに適合する場合とそうでない場合があるとしている。

ステーブルコインのタイプに応じて、伝統的な金融資産や仮想通貨(暗号資産)、もしくは法定通貨といった多様なソースから価値を引きこ出すことができ、そのため規制領域を不明確にしてしまう恐れがあると指摘している。

ECBは次のように指摘している。

「その構造の複雑さを考えると、ステーブルコインの整理は、その特定の設計機能に応じ、数ある異なる規制フレームワークの中でその1つだけが適用されるか、もしくは何の規制も受けない可能性がある。」

ECBはまた、レポートの中で、フェイスブックが主導するステーブルコイン「リブラ」についても複数のシナリオを想定し、分析を行っている。

ECBは規制の明確化をレポートの中で提言しているが、包括的なアプローチの必要性についても言及している。

「金融の安定性を損なうことなく、それらの潜在的なメリットを享受するため、我々はステーブルコインが規制の空白に陥らないようにしなければならない」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン