仮想通貨上場投資商品(ETP)プロバイダーである21シェアーズは1月28日、第11版となる「仮想通貨の現状」レポートを発表し、今後の規制変更が仮想通貨分野に及ぼす影響などについて解説した。

レポートによると、仮想通貨は「生き残り、繁栄している」が、業界内の人材を確保しハブを創出するための「国際的な競争」が増加しているという。これは昨年に動き出した様々な規制措置を通じて明らかであり、2024年に具体化する見込みだ。米国と欧州連合(EU)は、業界での地位を危うくするリスクがあると指摘されている。

「欧州連合については、状況が明確でない。暗号資産市場(MiCA)規制は、集中型サービスプロバイダーがビジネスをより効率的に行う手助けをするかもしれないが、スマートコントラクトを遮断するデータ法の条項は、ブロックチェーン開発者を遠ざける可能性がある」とレポートは書いている。

2023年12月22日、EUは「データ法」を公布した。これは、欧州経済圏内でのデータの交換と使用を促進することを目的としている。しかし、この法律にはスマートコントラクトを遮断する条項が含まれている

データ法のスマートコントラクトの「キルスイッチ」条項は、仮想通貨コミュニティ内で不確実性と懸念を引き起こしている。

米国での仮想通貨を取り巻く規制の不明確さも、レポートが指摘したポイントであり、仮想通貨プロジェクトがイノベーションを実行する環境を維持できなくなる恐れがあるという

「2024年に入っての主要な問題は、世界最大の市場である米国の規制当局が、起業家と消費者が切実に必要としている規制の明確さを提供するかどうかだ」としている。

それでも、米国の規制当局が「決済ステーブルコイン法」を通過させたことは、サークル(USDC)などのステーブルコイン発行者に規制の明確さを提供し、消費者に利益をもたらすかもしれないとレポートは指摘する。

レポートはまた、香港や英国が業界のイノベーションを促進するためにより適した場所になる可能性を強調している。

「実際、英国は2024年に仮想通貨企業を惹きつけることができるかもしれない。すでにこのトレンドの前兆が、a16zクリプトがロンドンに拡大し、2024年にそこでクリプトスタートアップスクールを開催する計画を立てていることから見られる」。

英国の経済担当政務次官も「政府の目標は、英国を暗号資産資産技術のグローバルハブにすることだ」と強調している。

21シェアーズはまた、香港が仮想通貨規制に関して「Uターン」をとった点に注目している。2023年8月、香港は新しい規制のもとで仮想通貨取引所に対する最初のライセンスを発行した。2023年12月、香港はステーブルコイン発行者が資産を提供するために満たさなければならない基準を発表している。さらに最近では現物型の仮想通貨上場投資信託(ETF)への申請を準備するための道筋も作られた

「香港がより多くの主要な仮想通貨プレイヤーを惹きつけ、再び仮想通貨ハブになるという目標を達成できるかどうかは、これからの問題だ」とレポートは結論付けている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン