ビットコインの現物型上場投資信託(ETF)がついに承認された。多くの業界関係者が自分たちのキャリア中には見られないと思っていた出来事だったが、次なる目標はイーサリアム(ETH)の現物型ETFの承認だ。しかも今後10年間にわたってETF承認を巡るイベントが起きるわけではなく、イーサリアムの現物型ETF承認はもはや確実であり、間近だ。

米証券取引委員会(SEC)は10年以上にわたりビットコインETF申請を拒否する中で無意味な言い訳をしてきたが、今やコモディティETPの提出に対してあいまいな反対で隠れることはできなくなっている。

実際、SECのヘスター・ピアース委員が1月10日に公表した意見書で指摘されたように、長年にわたるビットコインETF申請の拒否は決して理にかなっていなかった。

規制当局はこれらの商品に対して常に非常に明確なプロセスを踏むのではなく、ビットコインに対する「偏見」に基づいて申請を否認してきた。この偏見は、グレイスケール訴訟によってようやく終わった。

ピアース氏が指摘したように、この結果はSECへの信頼を失墜さえただけでなく、本来なら目撃されることのなかった仮想通貨商品をめぐる「サーカス」だった。これは、ブラックロックのビットコイン現物型ETFに現在座っている資産10億ドルが証明している。

イーサリアムETFをめぐるこのようなサーカスは見られないだろう。現在、SECの机の上には7つの現物型イーサリアムETFの申請がある。今回、ヴァンエックが2024年5月23日の締め切りで先頭に立っている。ブラックロックの申請の締め切りは8月だが、世界最大の資産運用会社が承認条件を決定すると予想される。SECは既にヴァンエックの申請に関する手続きを開始している。

イーサリアムETFの期限 Source: Bloomberg Intelligence

したがって、申請を拒否するためには正当な理由を見つけなければならず、それは他の保留中の申請に連鎖効果をもたらすだろう。これが市場が5月の承認が確実であるとみている理由だ。

そしてこれはETH商品に限った結果ではない。現物商品から仕組商品のようなより複雑な金融商品に至るまで、仮想通貨を裏付け資産とするか、もしくはデジタル資産にリンクされたETPの道が今や開かれている。

非常に長い目でみると、現物イーサリアムETF承認の障害となる唯一のものは流動性だ。ビットコインの現物商品に対する市場の規模とスケールが懸念されたのと同様に、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行によって供給がさらに制限されてしまったイーサリアムにとっては、それがさらに大きな問題となるだろう。

さらに、価値の保存手段としてほぼ純粋に使用されるBTCは、大規模な投資ファンド内で長期保有されるが、ETHは作業通貨だ。それは高度に構成可能なチェーン上での取引のために使われ、取引数は増え続けている。

現物型イーサリアムETFの承認は、世界だ2位の仮想通貨にとっては大きなチャンスだ。

流動性の問題は、巨大なETPファンドが高齢化する世界人口の年金貯蓄から資産を吸収するにつれて、ほぼすべての市場を悩ませ続けるだろう。だが解決策は見つかるだろう。実際、今、コインベースのウォレットにビットコインが流入しているのを目にしており、これはほぼ確実に機関投資家の需要を満たすための大口の対面取引(OTC)を行っているクジラたちだ。

また、ETHが証券であるかどうかの問題も、ETFになれば証券になるため無効だ。そして、我々は既にコモディティETFを多数持っている。

ビットコインETFの承認に10年かかった理由は政治だった—単純明快だ。SECは資産運用会社がこの新しい資産クラスを扉を通して許可すべきだと確信し、確信する準備ができるまで時間がかかった。今、我々はこの点について明確さを持っている。ビットコインの現物型ETFが承認されたことで、仮想通貨は伝統的金融の神聖な扉を通過するだけでなく、そのテーブルにしっかりと座っている。今、現物型イーサリアムETFの承認を超えて、我々は仮想通貨業界の完全な組織化に備えることができる。

ルーカス・キーリー氏(Lucas Kiely)はYield Appの最高投資責任者であり、投資ポートフォリオの配分を監督している。以前はデジネックス・アセット・マネジメントの最高投資責任者であり、香港のクレディ・スイスで上級トレーダー兼マネージングディレクターを務めていた。

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