4月4日の今朝方までのプラスから一転、仮想通貨相場はマイナスに転じている。ビットコインは一時5300ドルをつけたものの、現在は5000ドルをわずかに下回っている。また、イーサリアム(ETH)とリップル(XRP)は、執筆時点(4月4日11時30分)までの24時間で5%以上の大幅下落になっている。

(出典:Coin360

そんな中、2日に始まったビットコイン急騰の”容疑者”探しが未だに続いているようだ。コインテレグラフ日本版でもこれまでいくつかの考えられる要因を紹介してきたが、今回、新たに3つの”容疑者”がリストに追加された。

アルゴリズム自動取引

最近の仮想通貨相場の急騰は、アルゴリズムを使ったトレードの台頭が関係しているかもしれない。3日のブルームバーグが報じた。

過去2、3ヵ月間、アルゴリズムを使ったトレード手法が急増。アルゴリズムトレードは、ソフトウェアを使ってトレンドを発見し、いつ取引すべきか自動で決める取引だ。記事によると、仮想通貨業界には去年9月以降、新たに17のアルゴリズム取引を展開するファンドが誕生。同時期に立ち上がった仮想通貨ヘッジファンドの4割を占めているという。

2018年の弱気相場の結果、仮想通貨ファンドは7割以上の損失を出したといわれる中、”アルゴ・ファンド”は3~10%のリターンを得たという。

2日のビットコイン急騰の理由の一つとして考えられている「ミステリアスな大量注文」。実はこの大量注文の背景にあったのがアルゴリズムトレードなのではないか、とブルームバーグはみている。

一方、一部の投資家による大口取引ではなく、多くの小口投資家が今回の動きを支えているという見方もある。

フリップサイド・クリプトのデータによると、ビットコインを保有するウォレット数は、2日に始まったビットコイン急騰の2週間前に急増。「多くの人々がビットコインを買うというアイデアに対して準備をしている」という見解を示した

ブレグジット

ブレグジット(EUのイギリス離脱)を巡って混乱が続く中、イギリスとEUは3月29日だった離脱期限を4月12日に延期した。ただイギリスのメイ首相が掲げる離脱協定案を議会が承認しない状況が続いており、メイ首相は、さらなる離脱期限の延長を求める方針。5月23日~26日にかけて行われる欧州議会選挙に参加しなくて済むよう、5月22日までには離脱したい考えを示したと報じられている。

ブルームバーグのリポーターは、ブレグジットを最近のビットコイン急騰要因だとみているそうだ。

香港の仮想通貨リポーター、エリック・ラム氏は、4月中旬のブレグジットを前に投資家が英国のポンドからビットコインに交換をしているという理論に賛成した

ただ、これまでコインテレグラフ日本版も何度か伝えてきたように、ブレグジットの話は過去数カ月ほどくすぶり続けてきた問題だ。なぜ今月2日になってブレグジットが急に意識され始めたのかは分からない。

アボガド

そんな中、ビットコインとアボガドの価格の相関関係に注目するアナリストもいる。

先週金曜日、米国のトランプ大統領が米国とメキシコの国境を完全に閉鎖すると脅迫。これがアボガドの市場価格に影響を与えた。米国で流通するアボガドの75%がメキシコ産であり、国境閉鎖で供給網が立たれる恐れからアボガド価格が30%以上も上昇した。

(出典 Tracy Alloway 「ビットコインとアボガドの相関関係」)

eToroのシニアアナリスト、マティ・グリーンスパン氏は、クライアント向けのメモの中で「流動性が少ない市場ではチャートはこのような動きをするということだ」と指摘。ただ、ビットコインとアボガドは、全く状況が異なると指摘した。

グリーンスパン氏によると、アボガドは政治的な要因が影響してており、「外部要因による一時的な上昇」に過ぎない。政治的な解決や農業次第でアボガドのマーケットは元に戻るだろうと指摘した。

一方、ビットコインは発行量が2100万枚と決められた通貨。流動性の欠如が急騰につながるものの、「永遠の不足状態」が「高値が長く続くことを保証する一つの方法となっている」という。

ここまで急落の要因があげられると、何が本当なのかわからなくなってきそうなものだ。

ビットコインアナリストのトーン・ベイズ氏は、最近のビットコイン急騰について「具体的なきっかけはない」とコインテレグラフに対して答えた。急落や急騰の要因について何がきっかけになったか多くのメディアは探したがるが、「半分以上の確率で、ニュースを後付けしているに過ぎない」と述べた。