インドネシア拠点のフィンテック企業ディジアジアが、ビットコイン(BTC)購入に向けて1億ドルの資金調達を計画していると発表したことを受け、同社株は急騰した。
ナスダック上場企業であるディジアジアは5月19日、取締役会がビットコインを用いた財務準備金の創設を承認したと発表。将来的に得られる純利益の最大50%をビットコインの取得に充てる方針も明らかにした。
さらに同社は、初回のビットコイン取得資金として最大1億ドルの資本調達を「積極的に検討中」としており、取得したビットコインは貸付などを通じて利回りを得る方針も検討しているという。
すでにパートナー企業との間で利回り戦略や保有資産の管理に関する協議を開始しており、将来的には転換社債や暗号資産関連の金融商品を発行する可能性も示唆している。
ディジアジア株、計画発表で乱高下
ディジアジアの株価(ティッカー:FAAS)は5月19日の取引終了時点で前日比91%超の上昇となり、36セントをつけた。
しかし、その後の時間外取引では22%下落し、28セントまで反落。2025年の年初からはおよそ53%の下落となっており、2024年3月には12ドル近くまで上昇したが、その後大きく値を下げている。
同社の4月1日時点の財務報告によれば、2024年の売上高は前年比36%増の1億100万ドル。2025年は24%増の1億2500万ドルを見込んでおり、営業利益は1200万ドルを予想している。
企業によるビットコイン保有が加速
ビットコインを企業財務に組み込む動きは、マイケル・セイラー氏率いるストラテジー(旧マイクロストラテジー)によって一般化された。ストラテジーは現在、上場企業としては世界最大となる57万6230BTC(約609億ドル相当)を保有している。
この流れを受け、5月7日にはストライブ・アセット・マネジメントがビットコイン財務企業への転換を表明。さらに、ゲーム販売大手ゲームストップも4月1日に15億ドル相当の転換社債発行を完了し、一部をビットコイン購入に充てるとみられている。
Bitboのデータによれば、企業が保有するビットコインはすでに300万BTC超、評価額は3400億ドルを超えている。
ブロックチェーン開発企業ブロックストリームの共同創業者でCEOのアダム・バック氏は、こうした企業によるビットコイン活用が世界的な普及を促進するとし、今後10年以内にビットコインの時価総額が200兆ドルに達する可能性もあると予測している。
記事執筆時点で、ビットコインの時価総額は約2兆ドル。コインゲッコーのデータによれば、価格は10万5642ドルで、過去24時間で2%上昇している。