DappRaderによると、分散型アプリ(Dapps)関連のトランザクションの総額はは2020年に2700億ドルを超えており、この数字の95%はイーサリアムの分散型金融(DeFi)エコシステムからのものだった。また2019年の同じデータは210億ドルであり、1年間で1178%増という驚異的な増加率となっている。
DappRaderが18日にDapp業界の年間レポートを公開した。2020年のDappを巡るトレンドや具体的な数値などをまとめている。
レポートの中では、2020年を通じてビットコインからイーサリアムへ資金が流れており、その結果、ETHの価格が2020年1月1日に0.018BTCだったものが、足元では0.028BTCに上昇したと指摘している。
DappRaderは、DeFiの魅力的な利回りが「ビットコインがイーサリアムへと流れた主なトリガー」であり、ラップドビットコイン(WBTC)やRenVMのrenBTCが、ビットコインのDappへの膨大な流動性を活用する上で重要な役割を果たしたと述べている。
2020 was a record year for the #blockchain industry:
— DappRadar (@DappRadar) December 17, 2020
Dapp transaction volumes surpassed $270B with 95% accounted for by #Ethereum’s DeFi ecosystem.#NFT marketplaces demonstrated their potential with multiple sales worth more than $100,000.
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2020年を「Dappsがあらゆる犠牲を払ってでも成長しようとした年」と説明している。レポートによれば、わずか10個のDeFi関連のDappsがイーサリアムの総トランザクション量の87%を占めていることがわかった。
これら10個のDappsは、11月に計100万人を超えるアクティブユーザーがおり、上位3つ(Crypto.comのDeFi Swap、Uniswap、Compound)だけでも計93万人になるという。
レポートでは、イーサリアムネットワークの平均ガス手数料が昨年の数倍にもなったことで、「スケーラビリティに関して事実上の壁にぶつかった」と総括。今年はイーサリアムの限界が明らかになったとも述べている。
ネットワークの混雑により、今年後半にはイーサリアムの競合の台頭が加速し始めてもいる。バイナンス・スマートチェーンやトロン、Waxといったプラットフォームにおいて、Dapps関連のトランザクションの割合が急速に増加もしていた。
またDeFiプロジェクトで使用される未監査もしくは監査が不十分なスマートコントラクトによるハッキングやインシデントが重大な問題となったのも2020年だった。DappRaderは、2020年に12件のインシデントにより、1億2000万ドル以上が盗まれたと推定している。その結果、「保険が次の重要なDeFiエコシステムのサブカテゴリ―になる」と予測している。
「NFTマーケットプレイス」は、最近の多くの注目を集めているが、このカテゴリーは年間を通じて緩やかな成長しか示していない。「ゲーム」カテゴリーは横ばいとなっており、「ギャンブル」カテゴリーはわずかに減少している。
DappRaderはまた、新型コロナウィルス(COVID-19)のソリューションの1つとして使われることで、Dappsのエコシステムが強化されたとも指摘している。
2021年については、DeFiがさらなる影響力を持ち、NFTやゲーム、ロジスティックスといったDappsカテゴリーを含むすべてのセクターで「クリプト経済の基盤を形成する」ことになると予測している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン