先週、中国が仮想通貨を厳しく取り締まったことで、ビットコインとアルトコインの価格が急落し、一時的に市場に衝撃が走った。しかし、トレーダーが市場に参加する別の方法を見つけたことで、市場は立ち直ったようだ。

中国が仮想通貨取引を制限する目的の一部は、仮想通貨や成長する分散型金融(DeFi)のエコシステムの利用を阻止することにあると思われるが、取り締まりが始まって以来、ユニスワップ (UNI)やdYdXなどのトークン価格やプロトコル活動が上昇していることから、これらの作戦は逆効果になっているようだ。

チェイナリシスのデータによると、下のグラフのオレンジ色の棒(同じ地域間での資産の移動量)で示されているように、東アジアでは地域内でかなりの量のビットコイン(BTC)が動いていることがわかる。これは、東アジア地域の保有者が、規制強化に対応して保有資産を移動していることを示唆している。

Regional BTC flows. Source: Chainalysis

チェイナリシスが指摘するように、「通常、地域の取引所を好むためにアセットは地域内で流動するものだが、地域間での流れは、規制上の懸念、地政学的変化、または市場価格の大幅な変動の結果として起こることが多い」

フォビやバイナンスのような仮想通貨取引所が中国の居住者に対するサービスを停止している中で、北米など他地域から東アジアからのフローがないことは、地域内で資金が保たれていることを示唆している。
 

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DeFiに流入

このような東アジア地域内での動きの増加と同時に、中国のトレーダーが安全な避難所を探していることから、ユニスワップ や分散型デリバティブ取引所dYdXなどの分散型取引所での活動が増加している。

Uniswap trading volume vs. total revenue. Source: Token Terminal

dydXは、現在最も広く利用されている分散型デリバティブ取引所だ。世界中の規制当局が、デリバティブサービスを提供するKYCポリシーの緩い中央集権型型取引所に鉄槌を下した後、需要が急増しているため、特に参考になるデータだ。

Token Terminalのデータによると、dYdXはこの1週間で、トークン価格の上昇、プロトコルの総収入、支払手数料、販売価格比、収益価格比など、数多くのカテゴリーでランキングのトップ5に入っている。また、同取引所は、トータルバリューロックド(TVL)の増加率でもトップ6に浮上した。
 

Total revenue vs. total value locked on dYdX. Source: Token Terminal

また、データを詳しく見てみると、Trader JoeやPangolinなどのAvalancheベースのプロトコルやFantomネットワークを筆頭に、レイヤー2プロトコルやレイヤー1のイーサリアム(ETH)の競合も、この1週間で大きな利益を上げていることがわかる。

最近のデータが示しているのは、何よりも、分散型金融のエコシステムが本来の目的通りに機能しているということだ。つまり、政府や金融規制当局の管理や権限の及ばないところで、仮想通貨保有者が取引を行うための方法を提供しているのだ。