インド:仮想通貨 vs 中央銀行、法廷闘争にまで発展した経緯を解説

 インドの中央銀行、インド準備銀行(RBI)は4月5日、世界中で続く仮想通貨規制の中でも大きな動きに出た。仮想通貨を扱う個人や事業体に、今後はサービスを提供しないと決定したのだ

 それ以来、戦いは激しさを増し、次回の戦いは7月20日に設定されている。この日、インド最高裁は、RBIの決定に対する申し立ての審問を行う。

 RBIの決定の前には、銀行とビットコイン・ユーザーの対立があったほか、インド政府も「ビットコインは『ネズミ講』」であり、本質的価値がないと批判した経緯があった。

 多くの論者は、インドのケースは従来の中国的意味での禁止ではないと思っていた。インド政府は、ブロックチェーンの支援を表明したばかりか、独自の仮想通貨を発行する可能性を探るとまで明言したからだ。

 ところが、時間が経つにつれ、インドの仮想通貨関係者は、仮想通貨業界との関係を断つというRBIの決定によって窮地に立たされたことを感じ始めた。仮想通貨ビジネスが閉鎖されていく中で、RBIに抵抗する動きが多く現れ、つには裁判所での訴訟にまで発展した。

 インドとビットコインの関係は控え目に言っても不安定で、わかりにくく、複雑であり、この数カ月でこれほど多くの動きがあったことを鑑みても、詳しく見てみる価値があるだろう。

ビットコインとブロックチェーンを巡る経緯

 17年はインドにとって、ブロックチェーン技術と仮想通貨の成長、導入、受容という点で極めて実りの多い年だった。

 インドの代表的経済団体であるASSOCHAMは17年3月、ビットコインとブロックチェーンに関する世界サミットを開催した。

 17年5月、ビットコインの需要はあまりにも突然かつ急速に高まり、インドの大手取引所は供給量不足を理由にビットコインの購入量に制限を設けたほどだった。

 6月には、12年に設立されたインドのビットコイン取引所大手ゼブペイのアプリが、インドのアップルのアップストアの金融カテゴリーで、多くの国立銀行のアプリを抑えて7番目に人気の高いアプリにランクインした。

 10月に入ると、インドのビットコインの大手取引所は、毎月20万人以上の新規ユーザーを惹きつけていると報じられた。

 こうしたことが起きている一方で、背後ではRBIがすでに否定的コメントを出していた。RBIは17年を通して、ビットコインの購入には注意するよう、国民に警告を発し続けた。

否定的な声の高まり

 仮想通貨とブロックチェーンに関わりを持つ個人と企業は激増し、関心も高まっていたにもかかわらず、RBIはほとんど態度を変えず、政府も同じく心を動かされることはなかった。

 インド財務省はビットコインをネズミ講と呼び、本質的価値がないと述べて購入を思いとどまらせようとしたが、ビットコインはこの発言の数日前に2万ドルという高値をつけたばかりで、耳を傾ける者はほとんどいなかった。

 ところが、こうした警告は行動へと変化し始め、銀行セクターはビットコインの成長と前進を遅らせるための具体的措置に出た。

銀行の頑迷な態度

 18年1月21日、インドの大手銀数行が、取引所の口座を封鎖したり、機能を大きく制限したりしたと報じられた

 インドステイト銀行(SBI)、アクシス銀行、HDFC銀行、ICICI銀行、イエス銀行が、こぞって仮想通貨取引所に対して強硬措置をとり、取引口座を封鎖したり、機能を大きく制限したりした。地元メディアの報道によると、疑わしい取引のリスクが理由だという。

 2月14日、シティバンク・インドは、顧客がクレジットカードを使って仮想通貨を購入することを禁じた。クォーツ・インディアの報道によると、同社はさらに一段階規制を強め、仮想通貨の購入にデビットカードを使用することも禁じた。

 銀行の動きと同時に、アルン・ジェートリー財務相が予算演説の中で述べたビットコインに関する否定的コメントとが影響し、ビットコイン関連企業は圧力を感じ始めた。このような否定的状況下で事業を行う用意が、彼らにはできていなかった。

 2月28日、仮想通貨取引所のBTCXインディアとETHEXインディアは、取引サービスの停止を電子メールで顧客に通知し、仮想通貨を阻止しようとする政府の行動が事業に「ストレス」を与えたためと説明した

 このすべてがRBIの「禁止」という一大発表へと至った。RBIはその声明文の中で、政府がかねてから警告してきたリスクによって、この措置は正当化されると説明した。

 この声明により、RBIの規制対象となる事業体は、仮想通貨の取引や決済を行う個人や企業に対して、取引やサービスの提供を行ってはならないことが決定され、この決定は即日発効した。すでに仮想通貨関連のサービスを提供している事業体は、一定期間内にその関係を解消することが求められた。

希望はまだある

 このニュースは仮想通貨自体を禁止したわけではなかったため、やや前向きに捉えられたとはいえ、急成長を遂げていた仮想通貨環境にとっては、やはり打撃だった。

 「禁止」発表の翌日、RBIが独自の仮想通貨の発行を検討しているとも述べたことから、希望はやや回復した。RBIのB.P.カヌンゴ副総裁は、この技術について前向きな見解を持っているとして、タイムズ・オブ・インディアに次のように語った。

「仮想通貨を含む技術革新は、金融システムの効率性と包括性を改善する可能性を秘めている。ブロックチェーン技術が金融セクターに対して持っている潜在的メリットを我々は認識しており、経済的利益のために活用されるべきと確信している」

大きな反発

 この技術に関しては前向きであり、仮想通貨はインド経済に寄与できる可能性が高いにも関わらず、実際にはダメージが与えられた。取引所が閉鎖され、芽生えたばかりの仮想通貨エコシステムは損害を被った。

 このことは、インド国民のみならず、仮想通貨業界に大きな影響力を持つ人々からの反発も招いた。

 著名なベンチャー投資家であるティム・ドレイパー氏は、RBIの決定は大きな誤りだと指摘し、この決定によって仮想通貨専門家はインドからいなくなるだろうと語った。インドが仮想通貨技術に可能性を見いだしているのであれば、専門家を必要とするのは明らかだと警告した。

 さらに、ビットコインと仮想通貨に関する決定の撤回をRBIに求める請願には1万7000人の署名が集まった。多くの人々にとって、この請願に署名した理由は次のようなものだった。。

「禁止令は、インドにおける仮想通貨の不正な現金取引を増