インドの中央銀行が5日、金融機関に対し、仮想通貨に関連する個人・法人との取引を停止するよう求める決定をしたことを受け、署名収集サイトのChange.orgで請願活動が行われている。請願書公開の4月5日から現在までに、1万7000人以上が署名した

 この請願書は、インド政府にブロックチェーン及び仮想通貨業界への支援を求めるもので、特に若者への仕事の提供をその理由としている。

「ブロックチェーン及びその関連企業で働いたり、仕事を得ている若者が何万人も存在する。これは、未だに失業率を改善できずにいる政府にとって、極めて重大な事実である」

 請願書によると、インド準備銀行(RBI、中央銀行)が4月5日に発表した禁止令は、インドにおける仮想通貨の不正な取引を増加させる可能性がある。また、仮想通貨取引所から得られる税収を政府は失うことにもつながり、熟慮されていない中銀の対応が、仮想通貨市場の急落を引き起こす可能性がある。

 請願書は、世界的なブロックチェーン開発の必然性について指摘し、インド政府に対し、この点で後れを取ることのないよう、他国との競争力を維持することを求めている。

「コンセプトとしての仮想通貨とブロックチェーンは止めることができない。できるのは、全力でそれに参加するか、あるいは後れを取るか、自らの意志を決めることだけだ。現在の政府の姿勢は、最初はインターネット革命、次にAI(人工知能)革命で後れを取ったように、今度はブロックチェーン革命でも後れを取ろうとしているようだ」

 請願活動に加え、業界内部の個人からも、この禁止令に抵抗する動きが見られた。仮想通貨取引所ゼブペイのアジート・クーラナCEOは5日、「決して止めない」と大胆につぶやいた。

 @AjeetK @zebpay 自分のお金でやりたいことをやる権利のために闘うべきだ。私たちが自分のお金でできることを @RBI が決めることになるかもしれない。この件についてコメントして欲しい。心配しているだけでいいのか?私たちがついているから止めないで欲しい。

 @NischalShetty 米国、日本、韓国は仮想通貨の規制に向っているため、国として前進している。一方でRBIは、インドが仮想通貨革命に関わるのを妨げる決定を下した。私たちは進歩的な考えを持つ必要がある。 @RBI はこの件について再検討し、前向きな一歩を踏み出して欲しい。

 請願書は、RBIが独自のデジタル通貨の発行に興味を示していることにも言及している。RBIは禁止発表と同日、独自通貨の発行について公式に明らかにした。請願書は皮肉交じりに、「RBIは現時点で他の動きを止め、自分たちでブロックチェーン技術を研究したがっている」と述べている。

 RBIの仮想通貨禁止令は、今年これまでに噂されていた全国的な仮想通貨禁止措置と同じものではない。コインテレグラフの寄稿者ジョセフ・ヤング氏はツイッターで、インドの仮想通貨取引所ウノコインは、「6日時点で国内の取引プラットフォームとの関係を打ち切った銀行はいない」と指摘している

 @iamjosephyoung インド最大の仮想通貨取引所の1つウノコインは、国内取引プラットフォームとの関係を打ち切った銀行はおらず、インド中銀の最近の声明はインドにおける仮想通貨の法的地位を変えるものではないと述べている。