TRMラボが米国内外の法執行機関の関係者300人以上を対象に実施した「仮想通貨犯罪への取り組み」と題する調査では、回答者の90%が組織として仮想通貨に関する訓練を実施しているが、99%がこの訓練を強化するよう求めている。
調査によると、回答者の93%は米国の法執行機関であり、連邦政府機関が大半を占め、残りは州、郡、地方機関であった。捜査する犯罪の40%が何かしら仮想通貨が関係しており、2027年までにその割合は51%に達すると予測している。仮想通貨関連の事件が増えると予想されているにもかかわらず、ほとんどの法執行機関の関係者は、この将来に対する備えができていないと感じている。
今回の調査は、世論調査会社が2023年10月18日から11月3日の間に調査を実施した。回答者は、現在の法執行機関に少なくとも1年以上在籍し、過去1年間に仮想通貨が関与する犯罪を少なくとも1件を捜査または監督した。
調査によると、連邦政府機関の50%以上が現在ブロックチェーン分析ツールを活用しているが、州政府機関では11%に過ぎない。約61%は、仮想通貨犯罪の脅威に適切に対処するための高度な技術が不足していると回答している。
TRMラボのデータによると、2023年の1月から11月までの間に、ハッキングを通じて約17億ドル相当の仮想通貨が盗まれている。11月には仮想通貨取引所HTXとイーサリアムをつなぐブリッジが攻撃され、約8700万ドルの暗号資産が盗まれた。このハッキングは、仮想通貨取引所ポロニエックスで不正流出事件が起こった約2週間後に発生した。
調査参加者の約80%は、ブロックチェーン分析への投資を「重要」または優先度が「高い」と考えている。しかし、TRMラボの報告書では、米国の法執行機関は仮想通貨に関する職員の教育が十分ではないと指摘している。回答者の半数以上が、法執行機関が仮想通貨犯罪に効果的に対処するための主な障害として、捜査員、専門知識、資金の不足を挙げている
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン