仮想通貨のハードウェア・ウォレットを手掛けるLedger社は、香港に新しい拠点を設立すると発表した。アジア太平洋地域の拠点として、同地域の収益拡大につなげる狙いだ。

Ledger社は、ハードウェア・ウォレットの大手企業の1つで、フランス・パリと米サンフランシスコに本社を置く。今回の香港拠点設立に伴い、アジア太平洋地域の責任者としてベンジャミン・ソン氏を任命したことも発表。同氏は、米金融分析企業であるS&Pグローバルの元マネージングディレクターだった人物だ。

Ledgerのパスカル・ゴーティエ社長は、ソン氏がアジア太平洋地域での収益化を推進していくと語る。

「彼は、この地域における豊富な経験と専門知識を持っており、Ledger社の将来の成長につながるだろう。アジア太平洋地域は需要が高まっている、重要な市場だ。ベンジャミン氏は、消費者と金融機関の両者に対して最高のセキュリティを提供し、暗号資産を保護できることに貢献できるだろう」

今年1月、Ledgerは欧州のベンチャーキャピタルであるDraper Espritが主導するシリーズBの資金調達を通じて、7500万ドル(約84億円)を調達することに成功した。これは当時、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)以外による資金調達では、仮想通貨スタートアップの中で最大の資金調達だと言われた。

今年7月に報じたように、Ledger社は2017年に約100万個のウォレットを販売し、2500万ユーロ(32億円)の利益をあげた。サムソンやグーグルのベンチャー投資子会社といったテック分野の大手企業からの関心を集めているという。

また日本との関係では、Ledger社は野村ホールディングスなどと「コマイヌ」と呼ぶコンソーシアムを5月に設立。仮想通貨のカストディ(保管・管理)について研究を進めていくとしている。