フランスの仮想通貨取引所ペイミウムの共同創業者兼CEOであるピエール・ノワザ氏の娘と孫が、誘拐されかける事件が発生した。娘と通行人が犯人と格闘し、未遂に終わったと報じられている。

事件が起きたのは5月13日。パリ11区で、ノワザ氏の娘がパートナーの男性と幼い息子と共に歩いていたところを、マスク姿の男3人が襲撃。仏メディアのフランス24によると、犯人らは彼女と息子をワゴン車に押し込もうとしたという。

娘の男性パートナーは止めに入って暴行を受けたが、娘は抵抗し、もみ合いの中で犯人のひとりから拳銃を奪って遠くに投げ捨てた。

最終的に通行人が加勢し、犯人らは逃走。現場近くで犯行に使われたワゴン車が見つかった。3人の被害者はいずれも負傷し、病院に搬送された。

ル・パリジャンによれば、この大胆な日中の誘拐未遂事件は、フランス内務省傘下の特殊捜査チームが捜査を進めている。

ポーランドの仮想通貨取引所プラスビットのマイケル・イングランダーCEOは、事件を受けて「仮想通貨界にとって警鐘だ」とXに投稿。「いまだに仮想通貨をSNSなどでひけらかしているなら、愚かどころか家族を危険にさらしている」と指摘した。

現実世界での仮想通貨関連犯罪が増加

仮想通貨を専門とする弁護士のサーシャ・ホッダー氏は、「仮想通貨の盗難は進化している。もはやソーシャルエンジニアリングやSIMスワップだけではない」とXで述べた

昨年11月には、ラスベガスで仮想通貨イベントに参加した帰路の男性が10代の少年3人に誘拐され、仮想通貨と非代替性トークン(NFT)あわせて400万ドル相当を奪われた

また5月3日には、パリ警察が仮想通貨起業家の父親を誘拐していた犯人を摘発。700万ユーロ(約780万ドル)規模の身代金を要求する事件だった。

今年1月21日には、仮想通貨ハードウェアウォレット大手Ledgerの共同創業者であるダビド・バラン氏が、仏中部の自宅から誘拐され、翌日夜に警察の突入によって救出されている。

自己管理型ウォレット企業カーサの共同創業者でサイファーパンクのジェイムソン・ロップ氏は、GitHub上で「オフラインでの仮想通貨強盗リスト」を作成しており、2025年だけで22件の強盗が記録されている。

ケンブリッジ大学が2024年9月に発表した調査によると、こうしたいわゆる「レンチ攻撃(物理的暴行を伴う仮想通貨強奪)」は、報復や再被害の恐れから通報されにくく、犯人像は組織犯罪から親族・知人にまで及んでいるとされる。

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