大手仮想通貨取引所のビットフィネックスは、10月7日に公開したブログ記事の中で、同社が「債務超過」もしくは銀行問題に直面しているというネット上の噂を否定した。

ビットフィネックスの反論は、先週のブルームバーグの報道に端を発する一連の噂に対するものだ。ブルームバーグの報道によれば、ビットフィネックスの銀行パートナーであったプエルトリコのノーブル・バンク・インターナショナルが、ビットフィネックスおよびテザーとの関係を解消しており、買収先を探しているという。オンラインのブロガーなどは、法定通貨の払い戻しが難しくなっているという未確認の情報を取り上げ、ビットフィネックス自身も債務超過にあるのではないかという指摘をしていた。

ビットフィネックスは「ビットフィネックスは債務超過ではない。ミディアムでそうではないと主張する記事があっても、この事実は変わらない」と述べている。ビットフィネックスは噂について「全く理解できない」とし、仮想通貨を保有する3つのアドレスを挙げ、債務超過ではないと主張した。

最初に示したアドレス Bitcoin cold wallet 1 には148,467.26 BTCがあり、これは約978,758,494ドルの価値がある。2つ目のアドレス Ethereum cold wallet 1 は約382,071,909ドル分のETHがあり、3つ目のアドレス EOS cold wallet 1 には203,406,110ドル分のEOSがあった。

ビットフィネックスの開示は、注目するべきものだ。ドル建てのステーブルコイン「テザー(USDT)」を巡っては、ドル保有に関する透明性の欠如などが指摘され、論争を呼んでいた。同社は18年1月に監査法人との関係を打ち切り、テザーを巡る疑惑が高まった。今年6月には正式な監査ではないものの、「十分なドル資金」があるとの法律事務所による報告がなされた。

ビットフィネックスはブログの中で、「ビットフィネックスのユーザーは、ユーロ、日本円、ポンド、米ドルを自由に引き出すことができる」とし、法定通貨の引き出しは通常通り機能していると主張している。

一方で同社は「ほとんどの仮想通貨関連の組織と同様、法定通貨のトランザクションについて複雑化要因がある」とし、入出金に伴う待機時間を最小限に抑えるため努力を続けていくと付け加えている。

ノーブル・バンクについては、ネット上では「グローバル・トレーディング・ソリューションズ」という名前でHSBCの口座に移管していると指摘もされている。ビットフィネックス側は、こういった主張については特にコメントせず、ノーブル・バンクの問題は「ビットフィネックスの業務、事業継続性および支払い能力にはまったく影響を及ぼさない」と主張している。