法定通貨に裏付けされたアルトコインを発行するテザー社は20日、1トークン=1ドルの価格で3億ドル分のUSDTトークンを発行した。オムニ・エクスプローラーのデータからわかった。
テザー社は2月中旬、イーサリアム(ETH)ブロックチェーンを利用してユーロに裏付けされたEURTを8600万ユーロ相当、米ドルベースのUSDTを6110万ドル相当発行した。
テザー批判を展開する匿名ブロガーのBitfinex’edは21日、今回のようにテザーが大量発行を行えば、ビットコイン価格を上昇させてしまうとツイッターに投稿した。
“$300,000,000 NEW TETHERS IN ONE DAY.
The largest grant of fraudulent and unaudited Tether tokens in history. Oh look, Bitcoin jumped up big time today.
What a f****** surprise. First new Tethers since they fired their auditor.”
(新テザーをたった1日に3億ドル。史上最大の詐欺的・無監査のテザートークンの付与だ。見てくれ、今日のビットコイン価格の急騰を。クソびっくりだ。これが監査法人をクビにした後の新しいテザーだ)
テザー社が20日午後6時51分(UTC)に3億USDTを発行した。ほぼ同時に、急騰ではないが、ビットコインの価格が上昇した。本記事発行時点でビットコインは約9070ドルで取引が行われている。24時間で約6%の上昇だ。
CoinMarketCapで24時間取引高第5位の仮想通貨取引所、ビットフィネックス社は、テザー社と経営陣が共通している。この関係が、Bitfinex’ed のような批判者から透明性の欠如を理由にビットフィネックス社とテザー社が糾弾されている理由だ。テザー社は支払準備金の第三者監査を済ませていない。1月末、予定されていた監査報告の公表を前にテザー社は監査法人との関係を打ち切った。
Bitfinex’edのこれまでのオンライン上の批判に対して、ビットフィネックス社は昨年12月、批判者らに対して法的措置をちらつかせ脅した。それに対してBitfinex’edは、ビットフィネックス社との法定闘争のためにワシントンD.C.の弁護士を雇ったと言われている。
テザー社はプエルトリコの銀行に発行済みテザートークンに十分対応できる準備金を保有している可能性はあるが、いずれにせよ、顧客確認(KYC)/マネーロンダリング対策(AML)手続きを修正する必要があることが先月の調査でわかった。修正しない場合は閉鎖に追い込まれる恐れがある。