米議会の複数の議員は、8月4日、米税務当局の内国歳入庁(IRS)に対してプルーフオブステーク系のブロックチェーンからの報酬に対して過剰な税金を課さないように求める手紙を書いた。
手紙を書いたのは超党派の議員代表。共和党のトム・エマー氏、共和党のデービッド・シュウェイカート氏、民主党のダーレン・ソト氏、そして民主党のビル・フォスター氏だ。
議員たちはステーキングがどのように機能するかを解説。現在の税制が米国におけるステーキング技術発展の妨げになると言う懸念を表明した。
「これらのトークンからの報酬に対して納税者は税金を課せられるべきだ。しかし、『ステーキング』報酬に対する課税は、納税者の新たな技術への参加に対する実際の報酬に対して、納税者の報酬を誇張してしまうかもしれない」
議員らは、報酬として得たトークンが売却される時に課税されるべきと主張。芸術作品は創作時ではなく売却時に課税されることを引き合いに出して、ステーキング報酬も同等の扱いを受けるべきだと提案した。
ステーキングの参加者は、新たな取引を承認することでトークンの作成、ブロックチェーンへの新規ブロック追加という役割を担っている。
ステーキング仮想通貨報酬と農業
また、ロビー団体である「プルーフオブステーク連合(POSA)」が手紙の執筆に協力。4名の議員たちと同様に以下の声明を出した。
「農家が生産物を耕してマーケットで販売する時のように、ステーキング報酬に対する課税は売却時に評価されるべきだ。
我々は木からリンゴを摘んだ時に課税しないし、つるからトマトを取る時に課税しないだろう」
PoSは、計算能力でブロックを承認するPoWとは違い、仮想通貨の保有額(ステーク)に応じて承認する権利が得られるようになる。しかしステーキングは技術的に複雑になることが問題とされる。
現在、イーサリアム(ETH)やカルダノ(ADA)がPoSへの移行を目指している。
仮想通貨税制を巡る改革案
仮想通貨を巡る税制は、世界的に議論されている問題だ。日本においても、仮想通貨(暗号資産)交換業者による自主規制団体である日本暗号資産取引業協会(JVCEA)、また仮想通貨ビジネスの業界団体である日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が、2021年度税制改正に関する要望書を取りまとめている。
今回の要望書では、以下の課題を指摘した。
「我が国は、ブロックチェーン技術の将来性に確証が持てないとして、国家としてブロックチェーン戦略を打ち立てることができておらず、インターネットにおいて取り戻せないほどの後塵を拝した過ちを繰り返そうとしているが、現状の暗号資産に関する税制もまた、我が国が将来得られる可能性がある戦略的に優位な地位を毀損する内容となっていると思料する。」
そのために、「暗号資産の決済における利用促進、市場の活性化、関連産業の発展」を目的とするとして、仮想通貨(暗号資産)税制について以下の点を要望した。内容については昨年提案したものと変わらず、20%の申告分離課税導入を強く訴えた。そして次の3つの点を要望している。
(1)暗号資産のデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、デリバティブ取引に係る所得金額から繰越控除ができることを要望する。
(2)暗号資産取引にかかる利益への課税方法は、20%の申告分離課税とし、損失については翌年以降3年間、暗号資産に係る所得金額から繰越控除ができることとする。
(3)暗号資産取引にかかる利益年間20万円内の少額非課税制度を導入する。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン