仮想通貨(暗号資産)取引所コインチェックは、新しいサービスとしてバーチャル株主総会の支援サービス「シェアリー」の準備を進めている。コインチェック共同創設者兼専門役員の大塚雄介氏は、企業からの問い合わせに「手応えを感じている」と話している。

コインチェックのバーチャル株主総会サービスのシェアリーは、今年6月にその構想が発表された。オンライン上で議決権行使や質問が可能な「出席型」、オンライン上で傍聴するのみの「参加型」の両方に対応し、クラウドシステムの提供や株主総会の運営サポートを行う。今年秋以降にもサービスを開始する予定だ。また将来的にはブロックチェーンを活用し、議決権行使の改ざんリスクを排除するシステムの実装も検討している。

ターゲット層は新規上場企業

コインチェックでは発表と同時に企業向けの問い合わせ窓口を設置しているが、大塚氏は企業からの反応で「手応えを感じている」と話している。

大塚氏によれば、シェアリーのターゲット層となる企業は「上場したてでまだ社内での株主総会のノウハウが確立できていない企業」だ。システムだけでなく、総会でのオペレーション面の支援なども包括的に行うことを目指す。

また問い合わせが来る企業の中には、バックアップや事業継続計画(BCP)の一環としてバーチャル株主総会を検討しているケースもあるという。

「来年の時点で新型コロナウィルスがどうなるかわからない中、BCPの観点からもオンラインに対応する必要が出ているようだ。企業としてバックアップのオプションを持ちたいというニーズも聞く」

将来的にはマネックスグループとの連携も

コインチェックの親会社であるマネックスグループの松本大CEOは、シェアリーについて「非上場企業のニーズもあると思う」と指摘している。

「最近のベンチャー企業は種類株をいっぱい使うケースがあり、定足数が足りないとか、種類が多くて計算が大変であるとか、様々ニーズがあり得ると思う」

「非上場からシェアリーを使ってもらい、マネックスグループとしてIPO(新規株式公開)をサポートし、上場後までサポートするということもあり得るだろう」と、松本氏は語っている。将来的には、マネックス証券と連携して、シームレスな支援を行う可能性もありそうだ。

マネックスグループの株主総会でのシェアリー活用については「遅くても再来年、22年度にはコストコントロールの面からも実現したい」(松本氏)という。