仮想通貨取引所コインベースは、米国で毎年2月に祝う「Black History Month(黒人歴史月間)」にちなんで、広告キャンペーンを打ち出した。匿名性の特徴などから、仮想通貨業界は伝統的な金融業界より「人種的偏見が少ない」としている。

同調査では、回答者5126人のサンプルをベースに調査を実施した。コインベースのデータによれば、金融システムがどの人種にも平等にひらかれていると見ているのは黒人の米国人は3人中わずか1人だった。

さらに、伝統的な金融システムで人種や性別で否定的な印象を持ったと報告した黒人の米国人は48%と、白人の米国人の24%の2倍だった。

仮想通貨に関しては、70%の黒人の米国人が仮想通貨を学ぶことに興味があるとした一方で、白人の米国人は42%だった。

ブロックチェーンスタートアップYupの共同創設者でCTOのバーノン・ジョンソン氏は、以下のように述べている。

多くの仮想通貨トランザクションは、匿名性があり、あなたの現実社会のアイデンティティ(ID)開示を要求しない。そのことが、人種差別の認識をいくらか緩和しているのかもしれない。人々の真のアイデンティティが難読化される世界では、人種的なアイデンティティを知ることははるかに難しくなる」

ジョンソン氏はまた、仮想通貨においては、金融サービスへのアクセスは個人のデジタル上の評判とトランザクション履歴に完全に依存しているので、実際の面会やアイデンティティ文書の必要性がない、と述べている。

しかし一方で、顧客確認(KYC)といった規則などにより、コインベースは登録に際しIDとして顔写真を要求する、といった側面もある。

また、仮想通貨業界自体の偏見の要素も皆無ではない。2018年5月の報道では、仮想通貨に投資、関係している女性の割合は、男性に比べて格段に少ないとされている。北米ビットコイン会議では、演説者88人のうち女性は3人だけで、会議後のパーティーがストリップクラブで開かれた。このような事例は、業界に存在する格差の傾向を示していると報じられている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

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