仮想通貨・ブロックチェーン業界においては、まだ男性優位の状況が続いている。ブロックチェーン業界の非営利団体(NPO)「ダイバーシティ・イン・ブロックチェーン(DiB)」は23日にレポートを発表。「仮想通貨コミュニティでの女性参加は少ない」状況と指摘し、改善策を提案している。

DiBのレポート「ブロックチェーンにおける多様性と包括性の状況」では、企業や政府、大学、カンファレンスでの多様性の状況について分析している。

レポートによれば、仮想通貨業界における女性従業員の割合は、4~6%で推移している。またビットコインコミュニティにおける男女の比率は9:1となっている。

仮想通貨・ブロックチェーン分野では数多くのスタートアップ企業が設立されているが、女性中心のスタートアップはまだ少ない。2012年~18年に設立されたスタートアップは378社にのぼるが、創業メンバーが女性のみの企業は1社だけだ。また男性と女性両方が創業メンバーとなっているのは、31社(8.1%)だった。

また2019年に仮想通貨・ブロックチェーン関連の主要なカンファレンスでは、基調講演の登壇者113人のうち、女性は20人だった。さらに15ヵ国の100以上の仮想通貨関連イベントでは、男性参加者が79%、女性参加者が21%だった。

DiBは、女性やマイノリティーといった人材が参加して多様性を進めることが、ブロックチェーンのメインストリーム化にとっても重要と指摘する。

「インフラストラクチャの設計と構築に参加する人間の多様性の欠如は、広範囲な影響を及ぼす。インプットがより多様になれば、アーキテクチャの堅牢性が向上し、金融やビジネス、社会に対してよりよい結果をもたらす」

その上で多様性推進のためにいくつかの政策提案を行っている。

たとえば、仮想通貨・ブロックチェーン分野で多様性を推進するための諮問委員会の設立やベストプラクティスの共有、ブロックチェーン分野でのトレーニングの強化などだ。