中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の目的の1つは、アリペイやウィーチャットペイといった主要決済サービスのバックアップという側面もあるようだ。

中国人民銀行のデジタル通貨研究所の穆長春所長は25日のオンラインパネルのディスカッションの中で、民間の決済サービスで「何かが起こった」時に金融の安定化を確保するために必要であると語った。サウスチャイナ・モーニングポストが報じている。

穆氏は、アリババのアリペイやテンセントのウィーチャットペイが中国のモバイル決済市場の98%を占めており、この2つに問題が発生した場合に一定のリスクをもたらすと指摘した。

「金融的もしくは技術的にこれらに何かが起こった場合、それは間違いなく中国の金融の安定性に悪影響をもたらすだろう。リテイルの決済システムにバックアップを提供するため、中央銀行は中央銀行デジタル通貨を準備して、それを提供する必要がある」

穆氏が指摘するようにアリババ傘下のアントグループやテンセントが中国のデジタル決済市場を支配しているが、中国政府は民間による独占に対抗しようとしている。3月はじめ、中国の独占禁止当局は買収の報告を怠ったとしてテンセントなどに罰金を科した。また中国政府は、アントグループの新規株式公開(IPO)に待ったをかけた

オンラインパネルで、穆氏はまた、各国のデジタル通貨が相互の互換性があるようにするため、グローバルに中央銀行が強力する必要も指摘している。