米商品先物取引委員会(CFTC)の委員長のヒース・ターバート氏は、元委員長であるジム・ニューサム氏による7月7日のインタビューの中で、仮想通貨(暗号資産)の規制明確化に向けての課題について触れている。

証券規制とCFTCの権限

ターバート氏は、CFTCと別の規制当局である証券取引委員会(SEC)との間の違いについて概説し、注意を払う必要があると述べた。

デジタル資産が証券かどうかであるの決定は「SECの権限」であるとターバート氏は説明した。「それが証券ではないと彼らが判断したのであれば、私たちはそれを私たち自身の範囲内のものとして取り扱うことができる」と述べている。

「何かが証券かそうでないかがより明確になり始めれば、デジタル資産でより多くの先物がリストされるのを見ることになるだろう」

現在、ビットコイン(BTC)とイーサ(ETH)はどちらも米国では商品として分類されている。そのため、BTCとETHの先物契約が米国内で合法的に利用できるようになっている。ETHの場合、今年5月に仮想通貨取引プラットフォームのエリスX(ErisX)がETH先物取引を米国で開始している。

ターバート氏は、こういったデジタル資産の先物取引拡大に関心を示したが、それは未解決の問題のままだ。

規制面では「リーダーではない」

ターバート氏は「米国がテクノロジー、特にブロックチェーン技術をリードすることは非常に重要である」と述べたが、同氏は米国の現在のフレームワークには満足していないようだ。米国が規制面で世界をリードしているかどうかというニューサム氏からの質問に対して、ターバート氏は次のように述べている。

「規制の観点から見ると、私たちがリーダーであるとは言えないと思う。私たちは技術的な観点からはリーダーであると思う」

しかし、ターバート氏は、デジタル資産が国境を越えやすいため、規制を作成するのには特に注意が必要な分野であると強調している。「規制当局者や政策担当者は国境について注意を払うが、技術は違う。したがって、この分野がその潜在能力を最大限に発揮するには、国際協力が必要だ」と述べた。

過度な規制に警鐘も

ターバート氏は、以前にも仮想通貨規制の問題について言及している

今年6月15日にハーバードビジネスローレビューに掲載された論稿の中で、ターバート氏は仮想通貨に特化した規制ではなく、より広範な原則に基づいた金融規制を提唱している。

ターバート氏は、より少ない規制の中で、イノベーションを推進していく原則について触れている。CFTCが「テクノロジーと市場の変化により迅速に対応することにより、時代の先を行く」と、ターバート氏は表明している。

ターバート氏は、柔軟性とイノベーション推進に加え、「原則に基づく規制は、法律の遵守に対する『抜け穴』的行動と、『チェックリスト』スタイルのアプローチを防ぐことになる」とも書いている。

ターバート氏の議論は、特にデジタル市場と仮想通貨について触れ、この規制スタイルが有効であると述べている。

「原則に基づく規制が適切である分野の1つは、ブロックチェーンやデジタル資産を含む金融技術(フィンテック)の発展に関するものだ。…私の見解では、米国はこの技術で世界をリードする必要があり、過度に規範的なルールを適用すると、この重要な市場の発展が妨げられる可能性がある」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン