投資銀行キャンター・フィッツジェラルドのブランドン・ラトニック会長が、ソフトバンク、テザー、ビットフィネックスと提携し、30億ドル規模の仮想通貨取得企業の設立を目指している。
英フィナンシャル・タイムズが4月23日に報じた。このコンソーシアムは、仮想通貨に友好的なトランプ政権下で市場機会を捉えるべく、仮想通貨取得企業を設立する構想を進めている。マイケル・セイラー氏率いるストラテジー社の成功モデルを再現する狙いもあるという。
ソフトバンクやテザーが参加予定
キャンター・エクイティ・パートナーズは、今年1月に新会社「21キャピタル」のために2億ドルを調達済みだ。これに加えて、ステーブルコイン発行企業テザーが15億ドル相当のビットコイン(BTC)を出資し、ソフトバンクグループが9億ドル、仮想通貨取引所ビットフィネックスが6億ドルを拠出する予定となっている。
さらに新会社は、転換社債で3億5000万ドル、プライベートエクイティによる資金調達で2億ドルの追加資金を集め、ビットコインの追加購入を計画している。
出資者が拠出したビットコインは、1BTCあたり8万5000ドルという固定価格で21キャピタルの株式に転換される見通しで、株式価格は1株10ドルに設定されているという。
ただし、この案件はまだ正式には決定しておらず、一部の条件は今後の発表までに変更される可能性もある。ブランドン・ラトニック氏は、父親ハワード・ラトニック氏の米商務長官就任に伴い、キャンター・フィッツジェラルドの会長職を引き継いだ。
キャンターは仮想通貨領域で実績あり
キャンター・フィッツジェラルドは2021年以降、テザーの米国債ポートフォリオおよび1340億ドルにのぼる準備資産の運用を担っており、同社はテザーの株式を5%保有している。
昨年12月には、テザーによる動画共有プラットフォーム「ランブル」への7億7500万ドルの出資において、キャンターがアドバイザーを務めたことも報じられている。
さらにキャンターは3月11日、機関投資家向けに仮想通貨担保融資ビジネスを開始し、20億ドルの初期資本を投じると発表した。
フィンテルのデータによると、キャンター・フィッツジェラルドは現在50億ドル超を運用している。