仮想通貨業界のリーダーや金融専門家らは、仮想通貨イベント「コンセンサス」の中で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のプライバシーの影響について議論した。

米国の著名な経済学者であり、元財務長官であるローレンス・サマーズ氏は、現在の法定通貨システムはプライバシーが多すぎることが問題であると指摘し、CBDCがより優れた監視機能をもたらすようにするべきだと主張した。

現在の金融システム「プライバシーが多すぎる」

サマーズ氏は、数百万ドルの金額が匿名で動いていることは、金融政策の目的からはあってはならないと主張した。

「すべての重要な自由のうち、数百万ドルものお金を所有し、移転し、ビジネスを行う能力は、政府が維持すべき最も重要ではない自由の1つであるように私には思える。…中央銀行デジタル通貨の役割は、小規模なプレイヤーと大規模なプレイヤーとの間で競争を平等にし、匿名の形態の金融が横行するのを困難にすることだ」

プライバシーのバランスは「不可欠」

米商品先物取引委員会(CFTC)元委員長で、デジタルドルを提唱しているクリストファー・ジャンカルロ氏は、政府が発行するデジタル通貨は、個人のプライバシーの権利と政府の監視ニーズとの間の微妙なバランスを取るための機会を与えることになると主張している。

「プライバシーのバランスを適切に保つ」ことは、デジタル化された法定通貨にとって「設計上不可欠」でなければならないと、ジャンカルロ氏は述べている。

ジャンカルロ氏は、デジタルドルの目的は人々の選択によって作られるべきだとも語っている。デジタルドルのイニシアティブの設計は、活発な公開討論を通じて形成されるべきだと強調した。

国によって異なるプライバシーの懸念

世界経済フォーラムのブロックチェーンとデータポリシーの責任者であるシーラ・ウォーレン氏は、法定通貨のデジタル化を取り巻くプライバシー問題について、様々な国の社会的、政治的な特殊性がある点を指摘している。

ウォーレン氏は、多様な文化的、経済的、政治的文脈を強調し、デジタル通貨のプライバシーの懸念を巡る議論は社会によって大きく異なると語った。

CBDCとプライバシー通貨の多様性

リブラ協会の副会長であるダンテ・ディスパーテ氏は、民間のプライバシー通貨とデジタル通貨の多様性こそが重要だと主張する。個人が自身のニーズに最適なプロトコルを選択し、使うことができるようにするべきだと語った。

ディスパーテ氏は、デジタル通貨イニシアティブの目的はより大きな選択肢を付加することだ述べ、金融システムにおける選択肢の欠如が現在の経済危機につながった脆弱性を生み出していると主張した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン