カンボジアの中央銀行は、分散型台帳技術(DLT)ネットワークを立ち上げ、国の決済部門での相互運用性を向上させようとしている。消費者はモバイルアプリとQRコードを使用して、プラットフォームを介してほぼ即時に支払いが行うことができるようになる。

仮想通貨(暗号資産)カンファレンス「コンセンシス」で、カンボジア国立銀行のセレイ・チェア局長は、DLTネットワークの主な目標は米ドルの利用を抑えることであると語った。

「カンボジアはおそらく世界で最も経済がドル化されている。金融システム全体、実際には私たちの経済全体の90%以上は、米ドルに基づいている」と、チェア氏は語った。

「間もなく開始予定」

チェア氏は、4~5年かけて開発したDLTベースの決済ネットワークが間もなく開始予定であると明らかにした。

現在は12の銀行が参加し、プラットフォームを試験運用しており、カンボジアのすべての金融機関がプラットフォームに参加すると見込まれている。

カンボジアのDLT決済プラットフォームは、カンボジアの銀行、ウォレットプロバイア―、および銀行の顧客が簡単に取引できるように設計されている。

チェア氏によれば、マレーシアの大手金融機関のメイバンクと提携し、カンボジアの移民労働者からの送金を対象とする「クロスボーダーペイメントプロジェクト」を開始している。

経済のドル化に対抗

チェア氏は、カンボジアで米ドルが広く普及している理由は、あくまで心理的なものだと指摘している。

「現地通貨の利用は非常に少なく、理由は経済的なものより心理的なものだ」と指摘。通常、ドル化に直面している国々ではマクロ経済の弱さが要因となっているが、カンボジアはその条件には当てはまらないとチェア氏は語る。

「カンボジアの場合、私たちのファンダメンタルズは強固だ。為替レートは非常に安定しており、インフレ率は非常に低く、経済見通しは良好だ」

現地通貨の問題を解消

中央銀行が実施した調査によると、カンボジアの現地通貨リエルを日々の取引で使うことが非現実的なことが、国内での利用が少ない主な理由だという。

「1ドルは4000リエルに相当する。10ドル相当の金額を支払う場合、40,000リエルを支払うことになる。値が増えれば、ゼロが増えていく。…私たちの調査からは、それは多くのユーザーにとって複雑さが増すことになっている」

チェア氏は、「電子形式で支払う場合、ゼロの数やポケットに紙幣が数多く入れておくという不便さを気にする必要はなくなる」と語っている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン