ドイツのハイコ・マース外務大臣が米国から独立した新たな決済システムを作る必要性を訴えたとフィナンシャル・タイムズが21日に報じた。仮想通貨業界にとって追い風になるのではないかという見方が出ている。

 フィナンシャル・タイムズによると、背景にあるのは米国がイランの核合意から離脱を表明し今月初めにイランに対する経済制裁を再開したこと。米国の単独主義によってイランの企業と取引のある欧州企業に悪影響が出ることを回避する狙いがあるとみられる。また、国際銀行間通信協会(SWIFT)のシステムにも影響がある。例外事項がない限り、11月までに米国によって経済制裁の対象となったイランの銀行をネットワークから除外することが求められるという。

 実際、フランスのエネルギー大手のトータルは20日、米国の経済制裁を理由にイランで進めていた一大ガスプロジェクトから撤退することを表明した。

 マース氏は、独ハンデルスブラット紙への寄稿で、米国が「私たちの頭越しで私たちを犠牲にして」話を進めるのを許してはならないと発言。欧州通貨基金(EMF)を創設し独立したSWIFTシステムを構築することで欧州の独立性を強化することが不可欠だと主張したという。ドイツ・ベルリンに拠点を持つシンクタンクのソーステン・ベナー氏は、米国に対するEUの金融・財政システムの独立を訴える上で今までで一番大きな声ではないかとみているという。

 マース氏の発言は仮想通貨業界にとって追い風ではないかという声が出ている。CCNによると、インターネット起業家のキム・ドットコム氏は次のように述べた。

「大きなニュースだ。ドイツの外務大臣が欧州通貨基金(EMF)の創設、欧州版SWIFTと米国に依存しない決済システムの提案をした。イラン合意を救うための処置だというが、これは米ドル支配からEUが離脱するということだ。私が言ったように、米ドルの崩壊につながる。仮想通貨と金を買った方が良い

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