スペースチェーン(SpaceChain)は12月6日、イーロン・マスク氏率いるスペースXのファルコン9ロケットに同財団のハードウォレットが搭載され、国際宇宙ステーション(ISS)に向かっていると発表した。ISSにおけるブロックチェーン用ハードウェアの初実証実験に向けたもので、ナノラックス製商用宇宙プラットフォームに接続される予定。また、スペースXの商用補給機ドラゴン19号機(Space X CRS-19/Dragon)を利用したミッションにおける搭載貨物のひとつ。

スペースチェーンは、2018年2月2日低地球軌道(LEO)への初のノード(コンピューター)打ち上げに成功(ノードトラッカーで確認可能)。今回の打ち上げで、関連技術の打ち上げは3回目になる。

今回の実証実験では、トランザクション(取引)の受信・承認・再送信を行い、完了のため複数の電子署名を要する「マルチシグ」トランザクションの作成を行うそうだ。

プレスリリースによると、「集約型地上サーバーのみ利用している場合サイバー攻撃やハッキングに対してぜい弱になる可能性があり、宇宙にノードを追加することで、企業はデジタル資産のセキュリティを強化できる」という。

スペースチェーンは、コインテレグラフへのメールで、ハードウェアウォレットが12月8日までにISSに到着することを期待していると明かした。また次のように説明した。

「これは仮想通貨ビットコイン(BTC)専用だ。ただし、今後18ヵ月間にいくつか新しいローンチを予定しており、ロードマップの一部として近い将来他のブロックチェーンへの拡張も計画している。
ISSでテストした技術は、トランザクション検証プロセスのセキュリティを強化することで利益を得る取引所、ウォレット、保管サービスに適用できる。すでにこれら関係者の一部と協力して、類似するユースケースの実装を行っている」

スペースチェーンは、ブロックチェーン基盤の衛星ネットワークを構築し、ユーザーが宇宙で分散型アプリ(dApps)を稼働させることを実現するとうたっている。同財団は、オープンソースのリアルタイムOS(RTOS)「SylixOS」と協力し宇宙船用に設計したOS「SpaceChainOS」を開発。これにクアンタム(Qtum)のブロックチェーンを統合しており、さらにイーサリアム(ETH)の統合も進行中という。ソースコード類は、オープンソースソフトウェアとしてGitHub上で公開済みだ。

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翻訳・編集 コインテレグラフジャパン