仮想通貨やブロックチェーンの企業に対する州や連邦の規制がパッチワークのようにばらばらな状態の中、ワイオミング州はこの新技術に関わる企業のためのより進歩的な法域として、その地位を確立したように見える。

ローマのリンクキャンパス大学で比較法の教授を務めるピエルルイジ・マテーラ氏は、ブロックチェーンに対するリベラルな法律によって、ワイオミング州が米国での法人設立におけるデラウェア州の優位性を少しずつ崩していく可能性があると考える。

今週に公表された論文でマテーラ教授は、ワイオミング州の的を絞ったブロックチェーン寄りのアプローチが、デラウェア州の優位性に重大な挑戦を突きつける可能性があると主張した。

デラウェア州政府ポータルサイトの統計データによれば、フォーチュン500全企業の67.8%が同州で設立されている。また、同州で登記することを選択している法人の数は、150万社に上る。

米国には会社設立に関する連邦法が存在しない中、デラウェア州は企業統治に関するそのリベラルな法律により、会社設立のためのハブとして地位を確立してきた。

18年2月、ワイオミング州議会は、一定の仮想通貨トークンを証券規制の適用除外とする法案を可決した。それ以来、州議員たちは州内で仮想通貨とブロックチェーンの採用を促進するため、さらに多くの法律も成立させてきた

分散化技術に対する明確な枠組みを作ろうとするそれらの試みは、規制サンドボックスや、州固定資産税免除期間、送金法からの適用除外など、さまざまな分野を横断して行われた。

マテーラ教授によれば、ブロックチェーンに対するワイオミング州のアプローチは、会社法や税法を超え、この産業で事業を行うスタートアップにとって特に重要な銀行・証券規制にまで拡大している。

しかしながら、ローマのルイス大学の会社法教授でもあるマテーラ氏は、ワイオミング州が米国のブロックチェーン法人設立において高い優位性を確立・維持するためには、他の分野での専門化が必要かもしれないと付け加えた。同教授は次のように言う:

「ワイオミング州は、専門裁判所や、ブロックチェーンと仮想通貨に関する判例法の集積など、他の法域が簡単には真似のできない専門性のレベルを達成する必要がある。この点において私は、ビジネスや会社の問題に特化した衡平法裁判所を設立することが適切な動きであると主張する」

またマテーラ教授は、米国でのブロックチェーン関連法人設立におけるワイオミング州の優位性に対し、障害となる可能性が高い別のこととして、連邦法が制定される可能性を認めた。現在、いくつかの仮想通貨関連法案が連邦議会に提出されており、この新技術に対する全国的な規制になるかもしれない。