5000万ドル(約69億円)のファンドが、クロスチェーン・メッセージング・プロトコル「ワームホール(Wormhole)」を利用するスタートアップを支援するために設立された。新たなファンドは、ベンチャーキャピタルファンドのボーダレスキャピタルが運営し、サークル、ポリゴン・ベンチャーズ、ソラナ・ファンデーション、ジャンプ・クリプトなど、20以上のブロックチェーン開発チームとベンチャーキャピタル企業が支援している。

このファンドは、ワームホールのウェブサイトの応募ページによると、「複数のエコシステムにまたがる革新的なアプリ、インフラ、ツール」を開発するスタートアップを支援する。また、このファンドは、ユーザーの問題を解決するために複数のブロックチェーンが必要であるという考えを推進している。

ボーダレスキャピタルのCEO兼マネージングパートナーであるデビッド・ガルシア氏は、新しいファンドがWeb3経済の成長を促し、アプリケーションが新規ユーザーを獲得できるようになると語る。「ビルダーが個々のエコシステムの制約を超越し、ブロックチェーンアプリケーションやプロトコルがその潜在能力を最大限に発揮できるよう支援することが目的だ」とガルシア氏は言う。

ワームホールはクロスチェーン・メッセージング・プロトコルであり、異なるブロックチェーンネットワーク間で通信を可能にする。たとえば、ユーザーがイーサリアム・ネットワークからソラナ・ネットワークにイーサ(ETH)を移動したい場合、ワームホールを使用して行うことができる。発表によると、ワームホールは20以上の異なるネットワークに接続されている。

他のクロスチェーン・メッセージング・プロトコルには、LayerZero、Celer、deBridgeなどがある。

過去数か月間で、ワームホールはパートナーネットワークを拡大している。1月には、仮想通貨取引所ユニスワップがイーサリアムとBNBネットワーク間のクロスチェーンガバナンスの公式ブリッジングプロトコルとしてワームホールを選択した。また、4月26日には、ワームホールはサークルのクロスチェーン・トランスファー・プロトコルと統合し、イーサリアムからアバランチェへのUSDコイン(USDC)の移動を容易にする狙いだ。

ただし、ワームホールは過去にセキュリティ面での論争に巻き込まれたこともある。2022年2月には、ソラナ・ブリッジがハッキングされ、3億2100万ドルの損失が発生した。開発者たちは後に、このエクスプロイトにつながった欠陥のあるコードを修正し、すべてのユーザーに補償を行った。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン