中国の人民元安を受けてビットコインが急騰している。執筆時点(8月5日17時5分)までの24時間で9%近くもプラスを記録し、時価総額全体に占める割合(ドミナンス)は70%に迫る勢いで上昇している。
(出典: Coin360)
政治がビットコインを支配
5日、中国の人民元がドルに対して下落し、2008年以来約11年ぶりに7元台をつけた。
1ドル=7元台は、ビットコインにとっても心理的に重要な節目という見方が出ている。人民元安を嫌気して中国人投資家が資金をビットコインなど仮想通貨に移す可能性が高くなるからだ。
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人民元安の背景にあるのは、トランプ大統領による先週末の追加関税発表だ。
今回の急上昇は、9000ドルのレジスタンスで苦戦していた先週の動きとは対照的だ。避難通貨としてビットコインが機能することが、改めて示されることとなった。
また、政治に左右される法定通貨への信用失墜が、仮想通貨にとって追い風になるという見方も出ている。
既報の通り、仮想通貨トレーダーのマックス・カイザー氏は、今週末までにビットコインが1万5000ドルをつけるだろうと予想。次のように理由を述べた。
「中央政府、中央銀行、中央集権的なもの、法定通貨への自信は、ここ数十年間で最低だ」
カイザー氏は、人民元安に加えて、香港の情勢悪化についても注視している。
アルトコインは(再び)遅れをとる
主要なアルトコインも上昇はしているものの、ビットコインのイケイケムードに追いつけていないようだ。ビットコインが8%近く上昇する一方、イーサリアムは3.9%ほどのプラスにとどまっている。過去1週間以上続いている200ドルと223ドルのレンジ相場から抜け出ていない状態だ。
(出典: Coin360「イーサリアム/米ドル(7日間)」)
他のアルトコインも伸び悩んでいる。XRPやビットコインキャッシュの上昇幅は1%未満となっている。
仮想通貨全体の時価総額は再び3000億ドルの大台を突破。ビットコインのドミナンスは、2017年4月以来の高水準となる67.7%となっている。
ビットコインとアルトコインの乖離について、ギャラクシー・デジタルのマイク・ノボグラッツ氏は、先月末、ビットコインは価値保存手段としては「完成品」だが、イーサリアムなどウェブ3.0系の仮想通貨は「まだフルスケールではなく」、「ベンチャーの賭け」に留まっていると解説していた。
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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版