仮想通貨ビットコイン(BTC)のライトニング・ネットワークが備える盗難防止機能「ジャスティス・トランザクション」により、241件の窃盗に対し合計2.22BTC(約261万円)相当のBTCが回収・払い戻されたという。仮想通貨取引所ビットメックスのリサーチ部門が分析結果を7月15日に明らかにした。
ライトニング・ネットワークは、オフチェーンで実行する二者間の取引「ペイメント(決済)チャネル」を、第三者を経由した状態でも行えるようにしたもの。ジャスティス・トランザクションは、悪意のある者がこの第三者として仮想通貨を盗もうとすると、その仮想通貨だけでなく、関連するペイメントチャネル(悪意のある者自身)のすべての仮想通貨を失う(回収・償還される)という懲罰的な仕組みとなっている。ビットメックスのレポートでは、次のように説明されている。
「悪意のある者がライトニングでBTCを盗んで捕まった場合、目当てのBTCだけでなく、関連するすべてのBTCを失う。この『罰』は抑止力として機能することが期待されており、『ジャスティス(公正、正義)』と呼ばれることもある」
ビットメックスの研究者によると、2017年12月末のライトニング立ち上げ以来、241件のジャスティス・トランザクションを検出したという。また、このデータには誤検出の可能性はあることと、ライトニング・ラボのアレックス・ボスワース氏が、すでにより優れた検出ツールを公開していることに注意するよう呼びかけている。
(ジャスティス・トランザクションにより回収されたBTC 出典: ビットメックス リサーチ)
ビットメックスのデータでは、2018年10月には、これまでで最大の60件を超えるジャスティス・トランザクションが発生したという。2018年4月には過去2番目に多い30件以上となった。また、2019年2月から4月までの間に比較的多数(20~30件)発生し、金額面では2019年2月が最高額の0.67BTC(約79万円)となった。
なおビットメックスによると、悪意のある者が盗もうとした金額よりも高額な状態で処罰された可能性があり、合計2.22BTCという金額がそのまま被害額を示すわけでないという。
「合計2.22BTCという金額は、正直な(ライトニングの)ノードによって請求されたBTCの合計を示す。これには、不正なノードがもともと所有していたBTCと、不正なノードが盗もうとしていたBTCを含んでいる」
最後にビットメックスは、ライトニング統計情報サイト「1ml.com」のデータを元に合計940BTC(約11億円)の取引が3万2951チャネル(記事掲載時点)で行われていることを示し、ジャスティス・トランザクションの総数241件という数値がそのわずか0.7%にすぎないことを強調した。
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版