ビットコインは大幅な調整を迎える前に、過去最高値となる11万ドルに達する可能性があると一部の市場アナリストはみており、その根拠としてインフレの鈍化と世界的な流動性の増加を挙げている。

ビットコイン(BTC)は2週連続で上昇し、3月23日には8万6,000ドルをわずかに上回って週足を強気で引けたことが、TradingViewのデータで示されている。

インフレ懸念の後退と相まって、これはビットコインが過去最高値となる11万ドルへと上昇する土台になる可能性があると、BitMEXの共同創業者でありMaelstromの最高投資責任者でもあるアーサー・ヘイズ氏は述べた。

BTC/USD, 1-week chart. Source: Cointelegraph/TradingView

ヘイズ氏は3月24日のX(旧Twitter)投稿で次のように記した。

「$BTCが7万6,500ドルを再テストするより先に11万ドルに到達する方に賭ける。なぜかって?FRBは財務省証券について量的引き締め(QT)から量的緩和(QE)に転じようとしている。関税なんて関係ない、“一時的インフレ”だからな。JAYPOW(ジェローム・パウエルFRB議長)がそう言ってたよ。」

Source: Arthur Hayes

さらに続く投稿では次のように述べた。

「つまり、次に7万6,500ドルより11万ドルに到達する可能性の方が高いと言いたい。11万ドルに達したら、次は“ヨットで乾杯”の時間だ。そこからは振り返らず25万ドルを目指す。」

量的引き締め(QT)は、FRBが保有資産を縮小するために債券を売却したり、満期を迎えた債券の元本を再投資せずにバランスシートを圧縮すること。一方、量的緩和(QE)は、経済状況が厳しい時にFRBが債券を買い入れ、資金を市場に供給することで金利を引き下げ、消費を促す政策だ。

ただし、FRBはQTのペースを緩めてはいるものの、完全に緩和モードに転じたわけではないと指摘する声もある。

「QTは4月1日で『ほぼ終了』するわけではない。FRBは依然として月額350億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)の縮小を継続する。QTのペースを月額600億ドルから400億ドルに減らしただけだ」と、IntoTheCryptoVerseの創業者兼CEOであるベンジャミン・コーエン氏は述べている。

一方、市場参加者はFRBによる量的緩和への本格的な転換を待ち望んでおり、それが実現すればビットコイン価格にとって追い風となる可能性がある。

BTC/USD, 1-week chart, 2020–2021. Source: Cointelegraph/TradingView

なお、2020年に実施された前回のQE期間中には、ビットコイン価格は約6,000ドルから2021年11月の過去最高値である6万9,000ドルまで1,000%以上の上昇を記録した。アナリストらは、同様の構図が再び形成されつつある可能性があると見ている。

マクロ環境がビットコインの11万ドル上昇を後押しする可能性

先週のFOMC(米連邦公開市場委員会)後にビットコインが8万5,000ドルを回復したことは、投資家心理が強気に傾いた兆候であり、さらなる上昇が期待できると、リアルワールドアセット(RWA)のトークン化プラットフォーム「Brikken」の市場アナリスト、エマニュエル・カルドーソ氏は述べた。

このアナリストによれば、マクロ経済環境もビットコインの11万ドル到達を「後押ししている」という。

「世界的な流動性は増加しており、米国がビットコインの戦略的準備資産とする可能性も議論され始めている。取引所におけるビットコインの流動性が減少しており、供給不足による価格上昇圧力が高まっている」と語った。

ただし、「7万6,500ドルまでの調整も、ビットコインの過去のボラティリティを踏まえれば、利益確定や予期せぬ市場変動によって起こり得る自然な動き」だとも付け加えた。

その他のアナリストも、ヘイズ氏の予想が実現する可能性は高いと見ている。

「ビットコインが21日および200日移動平均線を上回って引けたことを考慮すれば、現在の強気の勢いは彼の見解と一致している。ただし、8万8,000ドルのレジスタンスが依然として主要な壁となる」と、Bitget Researchのチーフアナリストであるライアン・リー氏は語った。