ビットコイン(BTC)などのデジタル資産の認識と利用の「パラダイムシフト」が、米ドルの世界通貨としての支配を脅かす可能性があると、米投資銀行モルガン・スタンレーが警告している。

米ドルは世界外貨準備の約60%を占めているが、デジタル資産の「世界的な認識と利用のパラダイムシフト」が米ドルの支配に挑戦するかもしれないと、モルガン・スタンレーのデジタル資産部門責任者アンドリュー・ピール氏が書いている。

ピール氏は、SECが米国で現物型ビットコインETFを承認したことで、このシフトが大幅に加速されたと言い、新製品への週間流入が11億8000万ドルを超えたことを指摘した。さらに、過去15年にわたるビットコインの「注目すべき」世界的な採用をその継続的な成長の証拠として挙げ、世界中で1億600万人が仮想通貨を保有しており、80カ国以上にビットコインATMがあると付け加えた。

一方、各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)も米ドルの支配に影響を与える可能性がある。これにより、米ドルなどの共通通貨を必要とせずに、迅速な国境を越えた支払が可能になる。

「CBDCは国境を越えた支払いのための統一基準を確立する可能性を持ち、SWIFTのような伝統的な仲介者やドルなどの支配的な通貨への依存を減らすことができる」とピール氏は指摘する。

Atlantic Council CBDC Trackerのデータによると、世界のGDPの98%以上を占める130カ国が現在、CBDCの探求や開発を進めており、これは数年前から大幅に増加している。

現在130か国がCBDCの検討を進めている. Source: Atlantic Council

さらに、ピール氏は「CBDCは、スマートコントラクトを使用して支払いを自動化するなど、金融サービスにおいて顕著なイノベーションを可能にし、プログラマブルマネーの概念を現実のものにする」と付け加えた。

ビットコインとCBDCが米ドルの支配に影響を与える可能性がある中、ピール氏はステーブルコインが世界の金融にとってより有益な追加となる可能性があると指摘し、主に法定通貨に連動するステーブルコインを仮想通貨の「キラーアプリ」だと表現した。「その重要性が高まるにつれ、ドル建てステーブルコインは金融セクターに深い影響を与える可能性があり、国境を越えた資金の移動方法を再形成するかもしれない」とピール氏は語った。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン